2018 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニアにおけるオートファジー機能不全の包括的解明
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17K01755
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐久間 邦弘 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (60291176)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オートファジー / 加齢 / 骨格筋 / 筋萎縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋は様々な因子により調節を受け、オートファジー機能不全によりサルコペニア (加齢性筋減弱症)が促進される可能性が高い (Sakuma K, et al., p62/SQSTM1 but not LC3 is accumulated in sarcopenic muscle of mice. Journal of Cachexia, Sarcopenia, and Muscle. 2016)。機能不全となったミトコンドリアをリサイクルする機構をマイトファジー (オートファジーの1種)という。サルコペニアのメカニズムにこのマイトファジーが関与する可能性がある。本研究では、加齢筋におけるマイトファジー調節物質の変化を調べた。実験動物には若齢 (3ヶ月齢)と高齢 (24ヶ月齢)のC57Black/6J雄マウスを用い、加齢筋におけるParkinの変化を調べた。筋凍結横断切片 (8μm)を用いた蛍光免疫染色から、加齢筋におけるParkin免疫活性の亢進が認められ、オートファジー関連物質であるp62/SQSTM1の発現箇所とかなり類似していた。しかしながらParkinを発現する細胞に、別のオートファジー関連物質 (ULK1)の活性は認められなかった。また同様なオートファジー機能不全をもたらす除神経後の筋萎縮モデルにおいても、ほぼ同じ細胞にParkin、p62/SQSTM1の発現亢進が認められた。以上のことから、サルコペニアの筋ではマイトファジーの有意な変化が認められ、除神経による筋萎縮モデルがサルコペニアの短期間モデルとなる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リアルタイムPCR解析 (mRNAの定量)、細胞分画やミトコンドリア分画のサンプルを用いたタンパク質の生化学的解析についてはまだ実行できていないが、最終年度に必ず解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に加齢筋におけるオートファジー調節物質 (AMPK2、SIRT1)の変化を、蛍光免疫組織染色で確認した。またミトコンドリアの分解機構 (マイトファ ジー)の関連物質であるParkinについても、オートファジー関連物質 (p62/SQSTM1)が活性亢進している筋細胞に発現が認められた。細胞分画やミトコンドリア分画のサンプルを用いたタンパク質の生化学的解析を中心に最終年度は実験を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 予定していたmRNAの発現量解析と細胞分画を用いたタンパク質解析ができなかったため、当該助成金が生じた。
(使用計画) 得られた研究成果を、日本サルコペニアフレイル学会と日本体力医学会で発表予定である。したがって研究費の2割程度は、この旅費にあて る。今年度は、加齢筋におけるオートファジー調節物質のmRNAの発現量解析と細胞分画を用いたタンパク質解析を行なう予定である。研究費の5割程度は、この検証のたの一次抗体、二次抗体、生化学実験、蛍光免疫組織化学実験のための消耗品、実験動物の購入などにあてる予定である。残りの研究費は、本研究を遂行するための学生アルバイト、研究成果公開促進 (原著論文、総説、著書)のために別刷り代金 (Online掲載料金)に使用する予定である。
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