2018 Fiscal Year Research-status Report
標準体重者の2型糖尿病発症に対する基質酸化能を考慮した段階別改善プログラムの開発
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17K01756
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
大河原 一憲 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30631270)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、非肥満2型糖尿病患者に対する治療法のエビデンスは十分に得られていない。そのため、現在提唱されている国内のガイドラインは、主に肥満2型糖尿病患者を対象とした欧米の研究成果に基づいたものである。近年、アジア諸国の糖尿病患者数は増大しており、世界トップ10のうちの4カ国がアジアからである。このことからも、日本人を含むアジア人に適した治療・予防ガイドラインを作成するため、非肥満(標準体重者)の2型糖尿病発症予防に対するエビデンスの構築が求められる。申請者のこれまでの知見であると先行研究(Galgani et al., Diabetes, 2008)を比べると、欧米人と日本人のタイプではエネルギー基質への代謝応答が異なることがわかった。すなわち、主たる糖尿病発症の要因が肥満によるインスリン抵抗性の増大ではなく、インスリン分泌不全を由来としている2型糖尿病患者を含む非肥満の糖代謝異常者について検討をすることは国内外を含めて報告がなく、国際的にみても非常に独創的であるといえる。そこで、標準体重者における2型糖尿病の発症予防・治療を目的とした生活習慣ガイドラインのためのエビデンスを構築するため、疫学研究、基礎研究、実践研究で構成されている以下の課題を設定する。(1) 標準体重の健常者における2型糖尿病の発症から治療にいたる医療コストについて、機械学習を用いてモデリングし、投薬に頼らない治療法の必要性を医療費から明らかにする、(2) 一過性の食事・運動負荷に対する基質酸化調整能について、耐糖能異常レベルごとに検討する、(3)食事摂取および運動実践に対する糖代謝、エネルギー代謝の1日における変動とその関連性について、耐糖能異常レベルが異なる対象者で比較検討する、(4)食事療法と運動療法の併用が糖・脂質代謝機構の改善に及ぼす慢性効果を検証する(介入試験)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、特に課題1に該当する2型糖尿病の発症から治療にいたる医療コストについて、機械学習を用いてモデリングするというテーマについて重点的に検討を進めた。現在は一つの学習モデルにとどまらず、複数の方法を用いて検討することを進めている。また、課題2に該当する一過性の食事・運動負荷に対する基質酸化調整能については、データの解析が進み、学会発表レベルまでに至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題1および課題2については研究発表レベルまで到達しており、次年度は論文化を進める予定である。また、課題2の実施を通して得られたノウハウおよび実績をもとに、次年度はまずは課題3を進めていく。それらの実験実施とともに、これまでの成果を積極的に発表していく。
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Causes of Carryover |
研究実施自体は概ね順調に進められたが、発表および分析に関わる費用の執行が次年度に持ち越しとなったため。
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Research Products
(15 results)