2017 Fiscal Year Research-status Report
Interrelationships among cognitive, motor and cardio-respiratory functions during cognitive and exercise dual task performance
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17K01758
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石田 浩司 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (50193321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (40343214)
安藤 創一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50535630)
須藤 みず紀 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (10585186)
高石 鉄雄 名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 教授 (50216610)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動課題 / 認知課題 / 二重課題 / 二重課題干渉 / 自転車運動 / ストラテジー |
Outline of Annual Research Achievements |
歩きながら話をすると歩行速度が落ちるなど、運動と認知の二つの課題を同時に行うと、一方または両方の課題のパフォーマンスは低下する。この二重課題において、一方の課題の種類や難易度を変えると、各課題のパフォーマンスは影響を受けると考えられるが、詳細は明らかにされていない。平成29年度は、その基礎データを収集するため、若年者を用いて運動課題の難易度を変化させた時の、各課題への影響を明かにしようとした。 若年男女20名を対象に、自転車エルゴメータで最大の40%強度で好みの回転数を決め、運動の難易度を変えるため、その±10回転/分の速さの3条件を設定した。認知課題は注意・遂行機能を見るTrail Making TestのBを用いた。安静で認知課題を3分間実施し、次に一つの回転数での2分間の運動のみの単一課題試行と3分間の二重課題試行を1セットとし、速さ条件をランダムに変えて3セット実施した。 運動パンフォーマンスについては、3条件とも二重課題中に回転数の変動係数が有意に高値を示し、回転がブレやすくなった。さらに特に速い回転数では、設定回転数より遅くなる傾向があるが、3条件とも個人により変化の方向が一定ではなく、有意な変化ではなかった。認知パフォーマンスについては、二重課題中の誤答率が3条件とも有意に増加し、運動の難易度が上がると間違えやすくなった。反応時間は、回転数が速い場合に遅くなる傾向が認められたが、3条件とも個人により早くなる場合と遅くなる場合があり、一定の傾向は認められなかった。各個人の回転数の変化と反応時間の変化の関係を見ると、全体では一定の傾向はないが、各個人では、例えば二重課題ではいつも回転数が速くなって反応時間が遅くなるなど、個人により両課題の変化の仕方が3条件でほぼ同じ傾向が認められた。若年者では二重課題に対する個人のストラテジーが決まっていることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生命倫理審査委員会の承認が遅れ、それにともない予備実験の開始も遅れたため、本実験の開始が2017年11月からと少し出遅れた。しかし被検者が順調に集まり、2018年3月までに目標数の20名分の実験ができた。分析もおおむね終了し、ほぼ予定通りのスケジュールとなった。さらに、年度末の3月からは次年度の予備実験も開始しており、おおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、平成30年度前半は、二重課題で認知課題を変えた時の各課題のパフォーマンスに及ぼす影響を探る実験を、若年者を対象に実施する。3種類の異なる認知機能を見る認知テストを作成し、昨年度と同様のプロトコルで実験を実施する。認知課題のみ条件、運動課題のみ条件に対し、二重課題条件で、どの認知課題の時に最も影響を受けるかなどを検討することにより、認知課題の違いが二重課題のパフォーマンスに及ぼす影響を明らかにする。同時に呼吸循環応答も測定し、どの認知課題の影響を受けるかも検討する。認知テストは、認知機能に関する実験に精通している研究分担者の協力を得て作成する。若年者のリクルートはこれまで通りの方法を用い、学生を研究対象者として集めることが可能である。 平成30年度の後半は、これまで若年者を用いて実施した、運動および認知課題を変えた時の二重課題パフォーマンスに及ぼす影響を明らかにする2種類の実験を、健康な中高年に対して実施し、加齢による影響を明らかにする予定である。プロトコルはほぼ定まってきており、中高年者のリクルートについては、連携研究者が主催する中高年の健康教室に通う人などを勧誘するなどで、可能であると考えられる。 平成31年度には、これも当初の予定通り、軽度認知障害(MCI)を持つ人と同年齢の健康人の比較実験を行うことで、認知状態の影響も明らかにする予定である。MCIの研究対象者として、医師である連携研究者のフィールドワークに含まれるMCI患者をリクルートする予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度は本実験開始が遅れたため、購入を予定していた、複数の認知機能検査が可能な測定装置(機器またはソフトウエア)を購入するまで至らなかった。また、予備実験の結果、実験時間が短縮できることがわかり、被検者の謝金が当初の予定の半分近くで済ませることができた。合わせて70万円ほどを繰り越すことにした。 平成30年度は、29年度に予定していた認知機能検査のための機器またはソフトウエアの購入のため、当初の予定より物品費が必要となる。また、30年度の実験は複数の認知検査を実施するため、実験時間がかかることと、2種類の実験を実施するため、必要な被検者数が増え、当初の予定より謝金が必要となる。繰越金はそれらに充てられる。
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Remarks |
2017年度の研究成果の一部は、名古屋大学医学系研究科修士課程の大学院生の修士論文として公表された。 タイトル:運動と認知の二重課題が各課題と呼吸循環応答に及ぼす影響 執筆者:杉森 初江
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