2018 Fiscal Year Research-status Report
Interrelationships among cognitive, motor and cardio-respiratory functions during cognitive and exercise dual task performance
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17K01758
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石田 浩司 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (50193321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (40343214)
安藤 創一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50535630)
須藤 みず紀 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (10585186)
高石 鉄雄 名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 教授 (50216610)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 二重課題 / 認知機能 / 短期記憶機能 / 注意機能 / 実行機能 / 干渉 / 自転車運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、二重課題において認知課題を変化させた場合、すなわち認知課題の種類やその難易度を変化させた時に、二重課題実施時の認知や運動のパフォーマンスが、単一課題実施時と比べどのように変化するかについて、若年者を対象に明らかにしようとした。異なる認知課題として、短期記憶機能を見るメモリー課題、注意機能を見る視覚探索課題、注意機能と短期記憶および実行機能を見るTMT課題を用いた。難易度については、視覚探索課題およびメモリー課題の提示パターンや数を変えることで変化させた。 運動パフォーマンスについては、1) 認知課題の種類を変えた場合、単独運動時に比べ二重課題時の自転車の回転数の変動係数、つまり回転数のずれが全ての課題で有意に大きくなり、特にTMTで大きく、かつ平均値もTMTのみ有意に遅くなること、2) 視覚探索課題およびメモリー課題の難易度を変えても、同様に変化すること、が明らかとなった。 一方、認知パフォーマンスについては、1) 易しい課題での二重課題は、安静時に比べメモリー課題の反応時間の短縮や、視覚探索課題の誤答率の低下が起こるなど、認知パフォーマンスが良くなる傾向にあること、2) 視覚探索課題で課題を難しくした場合とTMT課題については、二重課題で反応時間・誤答率の両認知パフォーマンスが有意に低下し、その低下の大きさはTMTが最も大きいこと、が明らかとなった。 以上のことから、二重課題により、1) 運動パフォーマンスは認知課題の種類や難易度にかかわらず低下するが、特にTMTで大きいこと、2) 認知パフォーマンスは認知課題の種類や難易度によって影響の仕方が異なるが、特にTMTは低下しやすいこと、が明らかとなった。これらことから、TMT課題で特異的な認知機能、すなわち実行機能は二重課題による干渉が最も大きいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理委員会で中高年の被験者を加えた申請が承認されるまで、3か月以上かかったこと、および、複数かつ難易度を変える認知課題の設定(提示時間や回答時間など)を決めるのに、かなり予備実験が必要であったことにより、本実験に入るまでに時間がかかった。また、1人の被験者に対し4回の測定があり、若年者20数名、中高年者30名近くの実験のスケジュール合わせが大変で、これも時間がかかる要因となった。若年者については測定が終了し、データ解析を進めているところであるが、中高年者は測定が3分の2が終わったところである。当初の予定では、2018年度中に中高年者の測定も終えることになっていたが、まだ終了していないので、やや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、中高齢者の実験を実施中で、目標人数20人以上をリクルートにより確保している。次のステップとして、本年度は、認知能力の異なる対象者群での二重課題パフォーマンスへの影響の違いを検討することを目的とし、MCI(軽度認知障害者)の人の特徴を明かにすることを当初は予定していた。しかし、健常な中高年の参加者でさえも、実験室に来て課題に慣れるのに時間がかかるなど、実験実施がかなり大変であり、もともと外出したがらないMCIの人を、多人数集めて一人5日間も実験を実施するのは、かなり難しいことが予測された。 そこで、中高年者内で認知能力に個人差が大きいことに着目し、今後は中高年の対象者数を増やすことによって、中高年者の中で認知が衰えてきた人(MCIを含む)と認知機能が優れている人の2群に分け、両群を比較することで、認知能力の違いによる影響を明らかにすることにした。
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Causes of Carryover |
当該年度において海外の国際学会での発表を予定していたが、解析が発表申込期限(2月)に間に合わず、発表を次年度に繰越したため、当該年度の旅費の支出が予定より少なかった。また、中高年者の実験が遅れており、その分、当該年度の謝金の支払いが少なくなった。 次年度は国際学会での2演題(2人)の発表(約50万円)と国内学会での2演題(2人)の発表(約12万円)による旅費、実験の継続による謝金、及び電極やマスク等の物品費等に使用する予定である。
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