2020 Fiscal Year Annual Research Report
Epigenetic mechanisms for prevention of skeletal muscle atrophy
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17K01765
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉原 利典 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20722888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 紀子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 客員准教授 (10393175)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨格筋萎縮 / ヒストン修飾 / サルコペニア / ヒストン脱アセチル化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は補助事業期間を延長し、追加分析および成果公表に取り組んだ。その成果として、若年期の運動不足経験がその後に与える廃用筋萎縮の進行を悪化させるメカニズムとして筋萎縮に伴うヒストン脱アセチル化酵素4および核内転写因子(NF-κB)の発現増加が関与していることを明らかにし、国際的な学術雑誌への掲載が受理された。本成果は、若年期のような成長期における運動不足習慣が、廃用性筋萎縮過程の筋表現型に対して悪影響を及ぼす可能性があるというエビデンスを提供するものである。また、ヒストン脱アセチル化酵素4(HDAC4)/Gadd45α経路をターゲットとした対抗策が、高齢ラット骨格筋の廃用性筋萎縮に対するプレコンディショニング運動の予防効果に関する研究成果を総説論文としてまとめ国際的な学術雑誌へ投稿し受理されている。 補助事業期間における一連の成果により、以下の点を明らかにすることができた。1)若年期の運動不足はエピジェネティック修飾に関わるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC4)の発現増加を増大させ、筋の廃用過程における酸化ストレスの増大やタンパク質分解系の亢進を惹起させる。2)HDAC4の阻害剤であるLMK235の投与がマウス骨格筋におけるギプス固定誘発性の大腿四頭筋の萎縮を抑制することから、HDAC4の抑制はヒトにおける筋萎縮抑制の新たな分子ターゲットとなり得る。3)高齢ラットに対するプレコンディショニング運動は、HDAC4/Gadd45α経路の抑制を介して筋萎縮の軽減に貢献することから、若年期の運動を基盤とした対抗策が高齢者の筋萎縮に対して有効に働く可能性を見出した。4)サルコペニアの進行過程における加齢に伴うラット腓腹筋における転写活性および転写抑制を司るヒストン修飾には、いずれにおいても修飾されたヒストンH3の発現量に低下が認められることから、加齢に伴う転写制御不全がサルコペニア進行に関わっている可能性がある。
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