2018 Fiscal Year Research-status Report
自発運動が社会的隔離ストレス下の生理指標,脳内神経伝達物質,情動行動に及ぼす影響
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17K01766
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
石渡 貴之 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (40435235)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会的隔離ストレス / 自発運動 / 深部体温 / 活動量 / 脳内神経伝達物質 / 情動行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,社会性に関連する生育環境の違い(隔離飼育 vs. 集団飼育)に注目し,生理指標,脳内神経伝達物質,情動行動に及ぼす影響や,自発運動による各指標への効果を解明することを目的としている.2年目は1年目に取得した各指標(生理指標,脳内神経伝達物質,情動行動)に対する運動の効果に着目した.実験手法は1年目と同様とし,雄Wistar系ラットの4週令を用いた.隔離飼育群と集団飼育群に分け,自発運動が可能な回転かご付きケージ内で1ヶ月間飼育した.飼育環境は12h:12hの明暗サイクル(7:00-19:00明期),環境温23℃,湿度50%で飼育した.実験中以外の時間は,水,餌の摂取を自由とした.各群の深部体温,活動量の測定はデータロガー式小型体温計(nanotag, キッセイコムテック,Japan)を用いて行った.飼育開始1か月後,ホモジネート用のラットは,隔離飼育群と集団飼育群の脳をそれぞれ素早く取り出し,マイクロスライサーにて300μmの切片を作成し,マイクロパンチにて1mm四方の大きさで体温調節,運動,情動に関連する領域を取り出し,即座にホモジナイザーにて磨り潰した.セロトニン,ドーパミン,ノルアドレナリンは,高速液体クロマトグラフィー(HPLC System, Eicom, Japan)を用いて分析した.また,各群1ヶ月間飼育した後,行動実験用のラットは,オープンフィールドテスト及びソーシャルインタラクションテストを行った. まだ分析の途中だが,現在までのところ,深部体温,脳内神経伝達物質,情動行動に隔離飼育群と集団飼育群の有意差は見られていない.安静時の結果と異なり,隔離飼育でも運動が可能な環境下に置かれた場合には,それほどネガティブな影響が出ない可能性が示唆された.今後更に分析を進めて検討していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今のところラットの飼育を始め,生理指標,脳内神経伝達物質,情動行動の測定が研究計画通りに問題なく実施することが出来ているため.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り最終年度となる次年度は,テレメトリー法とマイクロダイアリシス法を用いて全ての群のストレス耐性,運動の効果をリアルタイムに比較する予定である.新奇環境及び温熱ストレス暴露時の生理指標とセロトニン,ドーパミン,ノルアドレナリン放出量の経時的変化を測定し,短期的なストレス刺激に対する反応を比較検討する予定である.最終的に,1年目,2年目の研究結果の詳細な分析も含め,社会的隔離ストレスに対する自発運動の効果を明確にしたい.
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Causes of Carryover |
(理由)年度末に実験用ラットの購入を予定していたが,都合が合わなかった. (使用計画)残額は次年度分と合わせ,ラットの購入に割り当てる予定である.
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Research Products
(3 results)