2018 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病による運動昇圧応答亢進機序解明とそれに関わるインスリンの新規生理作用の探究
Project/Area Number |
17K01769
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
堀田 典生 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (60548577)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 筋細径求心神経 / 高インスリン血症 / 血圧 / 循環 / 運動昇圧反射 / 機械受容チャネル / TRPV1 / 脊髄後根神経節細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者の運動時の血圧(昇圧)応答は増強されるため,運動処方の幅を低下させ,運動療法の効果を下げる.しかし,なぜ糖尿病になると運動昇圧応答が亢進するのか分かっていない.本研究では,糖尿病による運動昇圧反射異常の機序を,生体・神経線維・神経細胞のそれぞれのレベルにて明らかにすることを目的としている. これまでに,脊髄後根神経節小型細胞に対して,全細胞パッチクランプ法を用いてインスリンを暴露したところ,機械刺激感受性電流,カプサイシン感受性は有意に増加したことを明らかにした.本年度は,その現象が運動昇圧反射に関わる筋細径求心神経の軸索末端レベルにて生じるかを単一神経線維の活動の測定を通じて明らかにしようと試みた. 機械刺激に対する応答は,脊髄後根神経節小型細胞におけるそれと同様に,インスリンで増強し,インスリン受容体拮抗薬にて応答の増強は抑制された.インスリンのカプサイシンに対する応答への影響は,確かにカプサイシンへの反応を促進したが,活動電位の頻度を有意に増加させるには至らなかった. これらの結果から,糖尿病患者の異常昇圧反射の機序の一つに,高インスリン血症が関与し,それにより筋機械受容器反射,筋代謝受容器反射が過剰に生じる可能性が示唆されたが,インスリンのカプサイシンに対する筋細径求心神経への影響については,例数を増やして検討を継続する必要がある.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標(研究計画)はおおむね達成できている.3年目に実施するヒトを対象とした研究についても準備が進んでいる.研究の一部については終了し,もうすぐ論文が投稿できる状態である.おおむね順調とした理由は,論文の受理に至っていないからである.
|
Strategy for Future Research Activity |
脊髄後根神経節(DRG)細胞を用いた研究の弱点は,その神経細胞が骨格筋から来ているかどうか不明な点と,神経細胞体で生じる事象と軸索末端で生じるそれが同じとは限らないことである.そこで,ラット取り出し神経-筋標本を用いて,運動昇圧反射に関わる筋細径求心神経の単一記録を実施したのだが,結果がクリアでないところがあるので,もう数例検討する必要がある.また,ヒトを対象にした研究において,血中インスリン濃度と運動昇圧応答の関係性を検討していく.
|
Causes of Carryover |
2018年度の実験は失敗が少なく非常に効率よく記録ができた結果、人件費,消耗品の支出が予定より少額となったため. 使用計画としては、情報の収集のための国際学会参加に伴う渡航費用にあてる.
|
Research Products
(6 results)