2018 Fiscal Year Research-status Report
ACL損傷後の皮質脊髄路変化を考慮した実践的リハビリ戦略の確立を目指して
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17K01776
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
小西 優 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 総合教育学群, 教授 (90390301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二橋 元紀 上武大学, ビジネス情報学部, 講師 (20738017)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 前十字靭帯 / 経頭蓋脳磁気刺激 / ACL |
Outline of Annual Research Achievements |
前十字靭帯(ACL)を損傷したとしても、リハビリや再建術へ対する患者の反応は必ずしも一定ではない。再建術を受けたとしても術前のパフォーマンスを回復できない選手もいる一方で、再建術を受けずともスポーツ活動に適応できるCopers とよばれる患者もわずかながら存在する。ところが、Copersの適応能力の実態は未だ明らかにされていない。Copersの適応能力が明らかになり、それをリハビリテーションに応用できれば、患者はより安全に競技復帰を目指すことが可能となる。そこで本計画では、彼らの適応能力の実態を探るため靱帯そのものによる力学的支持が不十分でもスポーツ活動に適応できてしまうCopersの適応機序を踏まえた新たなリハビリテーション戦略の開発を目指す。 共同に研究を行っているオークランド工科大学でトレーニングを行った2連発経頭蓋脳磁気刺激法を用いて、大脳皮質内の促通、及び抑制を評価することを試みている。現在のところ、12名の前十字靭帯を損傷した被験者のデータ収集を終えた。今年度の中盤には、取り終えたデータを持ちオークランド工科大学と高雄医学大学の教授らとその解釈に関してディスカッションを行った。 その結果、これまで明らかにされていない変化が、大脳皮質の左右の半球間で起こっている可能性が示されるものであることが分かってきている。そこで、次年度に関しては、これまで収集し終えたデータに加え、新たに5~10例のACL損傷患者のデータを収集すす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
経頭蓋脳磁気刺激を使った被験者のデータ収集は開始し、一定の数の前十字靭帯損傷被験者のデータは取れているものの、Copersと呼ばれる前十字靭帯損傷被験者のデータに関しては、未だ募集できていない。一つの原因としては、現在は、本校で保有している脳磁気刺激装置を国立病院機構甲府病院に移設して行っているが、病院の患者であるため、多くの場合、症状が強い前十字靭帯損傷患者が、多く来院している。本校における前十字靭帯損傷患者に関しては、何件かCopersとして分類可能な被験者もいたが、横須賀から甲府への被験者の移動に関して、苦慮している(学生が公務員であり、謝金を出すことを禁止されている、全員が寮生活であり、外出に関しては多くの制限がある等)。今後は、この点を所属校と粘り強く交渉し円滑に進められるよう改善を促していくつもりである。 しかしながら、その他の点に関しては、概ね順調であり、後5名前後のNon-copersの前十字靭帯損傷被験者が集まり次第、その結果を解釈して、オークランド工科大学のPetrer McNair教授、Gwyn Lewis准教授、David Rice講師らと協力し、論文の執筆を開始していくつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
前十字靭帯損傷患者のデータ収集に関しては、これまで通り、国立病院機構甲府病院の協力を仰ぎながら、継続的に進めていくつもりである。 前述したように現在、Copersのリクルートメントに苦慮しているが、これまでに得られた研究結果に加えて、Copersのデータを付け加えるための努力をする。具体的には、上述したが、本校において前十字靭帯損傷患者をより積極的に被験者として取り入れることができる仕組みづくりを行っていきたいと考えている。これに加えて、国立病院機構甲府病院近辺の大学(山梨学院や山梨学院大学など)にも働きかけ、被験者の募集をさらに強化していくことを考えている。 同時に、今後の研究の推進方策として、これまでの結果の解釈を強化するためのデータ収集を付加してくつもりである。この手法に関しては、ベオグラード大学のDragan Mirkov教授と Olivera Knezevic助教に教えを請い、次回の被験者からこの方法を現在のプロトコルの中に加えていくつもりである。このデータの付加に関しては、今回の研究期間では、発表するに至らない可能性が考えられるが、今後の研究として確立させていくつもりである。
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Causes of Carryover |
今年度、使用した金額は、次年度の被験者や実験助手の謝金に使用する予定である。これらの使用額と予定額の誤差に関しては、受傷した被験者を用いているため起こりうるものであり、来年度分の被験者や実験助手の謝金に回していく予定である。
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