2019 Fiscal Year Research-status Report
大学生の座位行動の年次変化と介入プログラムの効果検証
Project/Area Number |
17K01784
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
原 丈貴 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40420723)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 座位時間 / 身体活動量 / スタンディングデスク |
Outline of Annual Research Achievements |
学生が所属する研究室で使用する学習デスクを,スタンディングデスクに変更し,学習環境の変化によって座位時間や日中の心拍変動,消費エネルギー量にどのような影響がみられるのか検討した. 対象は,運動部活動にも所属しておらず研究活動が中心となっている学生である.先ず,通常のデスクを使用するコントロール期間を設け,その後スタンディングデスクを使用する条件とした.本研究で使用するスタンディングデスクは高さが任意で調整できる可動式のものである.スタンディングデスクは,立位で作業ができる高さで極力使用するものとするが,身体的疲労度に応じて座位で作業することも認めた. その結果,スタンディングデスクを使用した日の座位時間は,通常のデスクを使用した日に比べ短く,また,日中の心拍数を観察すると,通常のデスクを使用した日に比べて概ね10拍/分程度高い水準で心拍数が推移していることが観察された.心拍数法により評価した日中(9時~18時)の消費エネルギー量については,スタンディングデスクを使用した日において約400kcal程度高まることも示された.さらに,スタンディングデスクを使用した期間は,身体的な疲労度は少し高まるものの,数日間の継続した使用を通して疲労度も低減されることが示された.また,副次的な効果として,日中の眠気を感じにくくなるという感想も得られた. 若年者に対して身体活動量の促進や座位行動の削減を内発的動機づけから図るのは困難である.本研究は学習環境の観点からのアプローチが学生の座位行動の削減に有効であることを示したものであり,内発的動機づけに頼らない汎用性のある研究成果に繋がるものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画を遂行するための研究備品は既に揃っていたものの,当初の計画において最終年度に実施を予定した研究の進捗が,職場業務の多忙により遅延してしまった.現時点においては成果をまとめるにあたって充分なデータ数が揃っている状態とは言えない状況にあるため,最終年度を1年延長して研究を進めていくこととした.
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Strategy for Future Research Activity |
日常の学習にスタンディングデスクを使用していることから,日中の座位時間が短くなること,心拍数が高い水準で推移することは容易に推測できる.座位時間の長さは仕事の充実感や生産性にも影響していることが報告されていることから,本研究ではスタンディングデスクの使用による座位時間短縮の影響が,日常の身体感覚,精神的感覚にどのような効果を及ぼすのかについてもあわせて検証を進めていきたいと考えて言える.しかしながら,現状では収集したデータ数が少ないため,当初の研究計画通りに研究を進められるよう,先ずはスタンディングデスクの影響を検証するためのデータの取得を進めて行き,今年度中には研究成果をまとめる予定である. また,初年次および2年目に実施した研究内容については,当初予定していた分のデータ数は確保できたものの,さらに詳細な分析を進めていくには,もう少しデータ数の上積みが必要であるため,並行してこちらのデータについても引き続き測定を行っていく予定である.
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Causes of Carryover |
最終年度であったR1年度中に予定していた研究を充分に進めることができず,学会発表や論文執筆に係る予算の支出が抑えられたため,次年度使用額が生じることとなった. 当初予定していた研究計画を遂行するため研究期間を1年間延長することとになり,今年度は不足分のデータ採取とそれらをまとめた論分の執筆にあたる予定である.それに伴い,学会発表にかかる旅費,論文校閲代,消耗品の購入に予算を充てることとしている.
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Research Products
(2 results)