2017 Fiscal Year Research-status Report
Continuous class practice study of the peer education in the health education
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17K01785
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
住田 実 大分大学, 教育学部, 教授 (90136771)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保健科教育 / ピア・エデュケーション / 保健授業研究 / 保健教材研究 / 食教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎研究として、本研究テーマの保健科教育におけるピア・エデュケーションに関わる先行研究動向と課題について文献的に検討した。 その結果、メインタイトルに含まれるピア・エデュケーションあるいはピア・カウンセリング(仲間相談活動)は、「教師による上から下への指導では限界がある」という教育現場の現状に対する打開策として、世界の健康教育研究において積極的に取り組まれている手法であり、例えば、WHOの専門委員会「思春期の人々のヘルスニーズ」によれば、「思春期の若者は権威に対して錯綜した感情があるとともに、その初期には自尊心が損なわれる傾向もあり、それは同年代の仲間(若者)同士の効果的なカウンセリング・プログラムによって回復し得る」とされている。このようなピア(同年代の仲間同士)を核とした教育活動は、発展途上国の健康教育プログラム(WHO、ユニセフ)としてのChild To Childプログラムにおいても根幹を成しており、さらに内外のChild To Childプログラムに関する研究論文の検討において、その効果が子どもの認識形成のみならず地域の健康意識の向上にも好影響を及ぼすことが多くの実践において報告されていることが確認された。 この結果をピア・エデュケーションをめぐる栄養教育分野における先行実践校としての兵庫県立大学・環境人間学部(管理栄養士養成コース:永井成美教授)における実践研究との研究交流、並びに著者による15年間にわたる大分県宇佐市安心院町におけるピア・エデュケーションの実践研究の成果も含め、日本における食教育研究においても「仲間同士の学びあい」という教育活動の有効性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎研究以前では、ピア・エデュケーションあるいはピア・カウンセリング(仲間相談活動)についてはWHOの専門委員会による研究に主に学ぶことが中心であったが、今回の文献研究により、ピア(同年代の仲間同士)を核とした教育活動について、さらに幅広い文献検索・収集により、発展途上国の健康教育プログラム(WHO、ユニセフ)としてのChild To Childプログラムのみならず、さらに内外のChild To Childプログラムに関する研究論文の検討において、その効果が子どもの認識形成や地域の健康意識の向上にも好影響を及ぼすことが多くの実践において報告されていることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で述べたとおり、ピア・エデュケーションあるいはピア・カウンセリング(仲間相談活動)について、発展途上国の健康教育プログラム(WHO、ユニセフ)としてのChild To Childプログラムのみならず、さらに内外のChild To Childプログラムに関する研究論文の検討において、その効果が子どもの認識形成や地域の健康意識の向上にも好影響を及ぼすことが多くの実践において報告されている。この点が文献研究によって確認されたという成果は、今後4年間にわたって継続される本研究のテーマの趣旨が世界的な研究潮流と矛盾しないことが確認されという意味において、今後の研究基盤として大きな意味をもつものと確信された。今後は、食教育からさらに広く保健科教育研究の充実に向けて具体的な教材研究も実施したい。
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Causes of Carryover |
本研究は5年間をかけた保健科教育をめぐる授業研究として計画しているものですが、研究初年度として継続研究の基盤となる教材関連の書籍と記録機器の購入物品費として翌年度の前倒し(30万円)の必要性が生じました。研究計画の後半は、主に理論構築としての研究論文の執筆が主となるので、研究目的の達成は可能です。
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