2017 Fiscal Year Research-status Report
身体活動の地域介入研究-継続のための仕組みづくりとその実証研究-
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17K01795
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小熊 祐子 慶應義塾大学, スポーツ医学研究センター(日吉), 准教授 (00255449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 義信 慶應義塾大学, 健康マネジメント研究科(藤沢), 助教 (40750261)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 身体活動 / ヘルスプロモ―ション / 地域在住高齢者 / 認知症予防 / ポピュレーションアプロ―チ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は藤沢市の協力を得て、高齢者をターゲットに「プラス・テン(今より10分多くからだを動かそう)」をキーメッセージに身体活動促進の啓発を実施してきた。 平成29年度には、27年度より市内全地区で展開しているコミュニティワイドキャンペーン(マルチレベルの複数の介入地域で実施)を発展・継続した。身近な地域で集まって週1回以上運動を行う高齢者コミュニティの支援・追跡については、28年度に1年後の追跡調査を行った10グループのうち運動継続8グループについて、支援を継続し2年後の追跡調査を行った(計144名が参加)。並行して、身体活動促進の普及・継続のためのマルチレベルのアクションおよび、課題の整理と対策を実施した。 グループ間・外交流の機会として、7月に交流会を実施した。上記8グループの参加者と市民を中心に、関連組織も参加した。10 月には身体活動推進に関わる4 団体も含め、市と共催で健康ミーティングを開催した。また老人クラブ連合会では、研究成果を実感し、組織的にプラス・テンを実施していくことになった。研究班では、体力測定をはじめとした健康チェック実施マニュアル等を成果として還元し、支援した。その他、老人クラブでの実施が町内会に広がったり、農協等の別コミュニティへの広がりもみせている。 1グループでは研究非参加者に対し、リーダーや協力者が主導して体力測定会を開催している。その際には、大学側は体力測定マニュアルを提供、具体的な注意ポイントを事前に指導した。項目を選べば、機器の貸し出しなど仕組みを作ることで、住民間でも実施可能であると考えられた。安全管理も含め教育は重要である。 地域コミュニティでの運動実施の成果は、市事業のグループ運動団体登録制度や各種・リーダー講習会等に反映されてきている。さらに市の集中プロジェクトともリンクして啓発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.前年度運動実施の10グループの継続実施について 10グループのうち2グループはグループ形成はできていないものの比較のために1年後に調査したものであった。残りの1年後に継続実施できていた8グループについては、すべて継続して予定した時期に2年後の調査を行うことができた。一部追加の参加者も生じている。 2.フォローアップの仕組み作りについて 定期的運動実施グループについては、継続的な支援を実施できている。柴らがまとめたように(柴ら、2018)、ルール・ロール・ツールがうまく機能しているグループは持続的自立的にグループが醸成されており、時にグループ間交流、外部(行政・大学など)からの評価や支援も有効であった。体力測定はグループによりニーズが異なり、一律にルールを決めることは難しかった。場所の問題、対象者の体力レベルの問題、使える時間の問題もあり、一律に方法を決めておこなうのは難しいと思われた。そこで、市や研究、市民でもできる方法について、自身の値を標準値と容易に比較できる方法が望まれる。そのために、電子記録・参照システムの整備が必要と考えた。電子記録・参照システムの整備は必要であるが、整えるには時間と費用がかかり、来年度に持ち越して検討する部分として残った。 また、本年度は研究遂行や論文作成に注力したため、予算確保した国内学会交通費は使用しなかった。2018年度国際学会での発表(10月国際身体活動と健康の学会、ロンドン)予定であり、その渡航費に使用する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
小グループ介入については、引き続き、3年後調査を平成30年度7月から翌年2月にかけて漸次実施する予定である。 研究全体としては、コミュニティワイドキャンペーンの形で開始してから5年後のフォローアップとして、市の健康増進計画(第2次)中間評価質問紙調査を活用する形で、連続断面調査として、平成25年度の4地区介入前および、平成27年度の全地区介入前に実施した質問紙調査と比較し、身体活動量およびアクティブガイドやキャンペーンの認知度について、評価・検討する。こちらは市の担当課(健康増進課)と調整をすすめており、前回との比較可能な項目、国の指針などとの兼ね合いで新たに採用する項目などの整理を進めている。 あわせて、RE-AIMの評価指標をもとに、プロセス評価、アウトカム評価および長期的なポピュレーションレベルのインパクトについて、今までの結果をまとめ、他地域への一般化可能性についても検討していく予定である。さらに、関連する要因は何なのか、関係者へのインタビューなどの質的方法も含め、評価検討する。 フォローアップの仕組み作りについては、他の公的資金などの獲得も視野に入れ、ITでのデータ参照などの方法を検討し、市民に過度の負担をかけることなく、自身の値の評価、経過観察ができるよう、基盤の検討を進める所存である。
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Causes of Carryover |
本年度国内学会参加を控え、研究遂行と論文執筆に注力したため、国内旅費を使用しなかった。この分について、次年度の国際学会(2018年10月国際身体活動と健康の学会、ロンドン)および国内学会参加の費用としたい。 また、物品費については、運動療法として、追加で行う筋力トレーニングの際に使用するためのセラバンド(筋力トレーニング用ゴムバンド)などを見積もっていたが当方に既存のもので、不足しなかったため、購入の必要がなかった。 、
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