2017 Fiscal Year Research-status Report
顔への非侵襲性の皮膚刺激が副交感神経活動と精神ストレスに及ぼす影響
Project/Area Number |
17K01804
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
星川 秀利 常葉大学, 健康プロデュース学部, 准教授 (00258948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢崎 健太 常葉大学, 健康プロデュース学部, 准教授 (80387935)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非侵襲性の皮膚刺激 / ストレス / 自律神経活動 / セルフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
三叉神経の支配領域である顔の頬から下顎の皮膚を,ローラータイプの非侵襲性の機械的な刺激(S群),氷による冷却刺激(I群)を与える条件,及び何も刺激を与えない条件で心電図RR間隔(RRI)への影響を検討した.その結果,S群とI群で刺激中のRRIが有意に増大し,迷走神経活動が亢進した.また,RRIの増加の程度はS群とI群で差はなく,機械的な皮膚刺激によって冷却刺激と同等な効果が期待できることが示唆された. 一方,鍼灸のツボを手掛かりに,耳甲介腔が迷走神経支配領域であることから,この部位の皮膚刺激としての可能性を検討した.この部位への微細突起による皮膚刺激は,共同研究者の研究において便秘の改善が確認されている.そこで,12名の大学生を対象に,精神ストレスとして暗算(例えば,1252から13を引く)を行わせ,耳甲介腔に微細突起による皮膚刺激ツール(S群),微細突起のないプラセボーツ(P群)を貼付した場合と,何も貼付しないグループで比較検討した.その結果,RRIは,P群とC群でストレス時に有意に低下し(心拍数の増加),交感神経が高まりストレスがかかっていたことを示している.ところが,S群のRRIは低下していたが有意ではなく,低下の程度も低かった.一方,自覚的疲労度はいずれの群も上昇し,暗算中に疲労感が高まり,ストレスがかかった状態であったことが示された.このように,耳甲介腔に微細突起による皮膚刺激によって交感神経活動を抑えることができたことは,ストレスを軽減させる可能性を示唆している.しかし,自覚的な疲労感としての効果は示されなかった. これらの研究成果によって,非侵襲性の皮膚刺激ツールは迷走神経活動を賦活させ,交感神経活動を抑えることで,ストレスを軽減させる新しいセルフケアツールとなりうることを示唆する成果であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
刺激部位,刺激量,ツールの検討は十分ではないが,迷走神経活動の賦活に有効な部位が見つかり,ストレスの予備実験からも肯定的な結果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,刺激部位,刺激量,ルールのさらなる基礎的な検討を加えながら,顔面の頬から下顎にかけての皮膚領域や耳甲介腔への皮膚刺激が及ぼす精神的ストレスへの影響を検討してく.精神的ストレスの方法や自律神経活動の評価指標に検討を加え,被験者数を増やし検討していく予定である.
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Causes of Carryover |
情報収集のため当初計画していなかった学会へ参加するなどして,予算使用計画を若干変更したため.
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Research Products
(3 results)