2018 Fiscal Year Research-status Report
顔への非侵襲性の皮膚刺激が副交感神経活動と精神ストレスに及ぼす影響
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17K01804
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
星川 秀利 常葉大学, 健康プロデュース学部, 教授 (00258948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢崎 健太 常葉大学, 健康プロデュース学部, 教授 (80387935)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非侵襲性の皮膚刺激 / ストレス / 自律神経活動 / セルフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
耳甲介腔への非侵襲性微細突起による刺激が精神ストレスに及ぼす影響を検討した.男子大学生20名を対象として,5分間の仰臥位安静後,そのままの姿勢で暗算課題を10分間行わせた.これを,微細突起のあるツール(S),突起のない外見上区別のつかないプラセボツール(P)およびツールなし(N)の3種類の条件で,10分間の休息を挟んで実施した.各ツールは,両耳の耳甲介腔に実験者が貼付し,S・P・Nの3試行はランダム化,ダブルブラインドにて実施した.精神ストレスとして,4桁の数字から2桁の数字を除する暗算課題(例えば,1013から17を引く)を用い,口頭で回答させた.答が間違っていた場合は最初の数字(1013)に戻り,同様の作業を10分間行わせた.胸部に電極,両手首・足首にはマンシェットを装着し,心電図および血圧・脈波を,また唾液アミラーゼ,主観的疲労度(VAS)で計測した. VASは,安静時から暗算負荷時の差分がS: 22.26±17.76mm,P: 19.79±10.14mm,N:24.95±17.32mmと安静時から有意に増加したが条件間の差はなく,暗算によって3試行で同様の精神的ストレスが負荷されていた.心電図RR間隔は, S:-137.58±68.30ms,P: -115.59±91.99ms,N:-125.23±86.40msと,暗算負荷で有意に低下したが,3条件間で有意差はなかった.その他の心拍変動の指標,また,唾液アミラーゼや血圧・脈波のデータについても,暗算負荷による変化は有意であったが,S,P,Nの条件間では差はなかった. 今回の結果は,昨年度の結果とは異なり皮膚刺激の有用性が認められなかった.今回のデータをさらに詳細に検討し,昨年度との違いを明らかにしながら,刺激の種類や部位を変えながら精神ストレスへの影響の検討を進めていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年実施した実験を,被験者数を増やし,新たな計測データを加えて実施した.しかし,当初の予想に反した結果となり,その原因を検討するためにさらに詳細なデータの検討が必要となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
顔と耳甲介腔の皮膚への刺激が迷走神経活動を増加させることが,文献的にも昨年までの研究結果からも明らかになっている.これらの部位への刺激を中心に暗算ストレスだけでなく,他のストレス負荷法での実施(クレペリン検査など)や負荷時間などを検討していく.
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Causes of Carryover |
論文の執筆に時間を要し,実験の実施が遅れたのに加え,実験結果が当初の予想に反するものであり,学会発表などができなかった.また,当初の予定にない学務などのため実験を実施する時間が制限されたため,物品の購入など予算の使用が制限されてしまった.次年度に効率よく使用していきたい.
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Research Products
(1 results)