2017 Fiscal Year Research-status Report
Physical activity, working time, and health status in school teachers
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17K01815
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高崎 裕治 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (40117297)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学校教員 / 健康 / 身体活動量 / 仕事時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の学校教員は諸外国に比べて仕事時間が異常に長く,各種疾患による休職者が増加するなど健康が危惧されている.しかしながら,学校教員について職務中の身体活動量の実態はほとんど知られていない.本研究では小学校と中学校の教員を対象に日常の身体活動量,仕事時間,及び健康状態を調査し,その実態と相互の関連性を明らかにすることを目的としている. 平成29年度(初年度)は,秋田市内の小学校2校と中学校7校に勤務する学校教員合計243人(中学校教員188人,小学校教員55人)について調査した.職種は校長,教頭,教諭,講師,養護教諭,栄養教諭と多岐にわたっている.一番多い職種は教諭で,中学校129人,小学校38人であった.これまで調査している教員の平均年齢は小学校50歳(22~63歳),中学校47歳(22~66歳)である. 健康状態についてみると,病気やけがなどで自覚症状のある教員は小学校で30%,中学校で24%いた.病院や施術所(あんま・はりなど)に通っている教員は小学校で27%,中学校で29%いた.日常生活で悩みやストレスを抱えている教員は小学校で67%,中学校で71%いた.これらのように,多くの教員が自覚症状やストレスにさらされていることが示された.しかしながら,平均睡眠時間は小学校,中学校ともに5時間以上6時間未満と回答する教員が最も多く,十分な休養が得られていないと考えられた. 仕事時間について朝,自宅を出発した時刻から夕方,帰宅のために学校を出発するまでの時間を計算すると,小学校教員の平均が11.4時間,中学校教員の平均が12.9時間であった.8時間労働を大きく超える仕事時間であるが,中学校教員の多くが部活動指導に携わることもあり,仕事時間が特に長かった.一方,身体活動量は必ずしも多いというわけではなく,詳細をさらに分析する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実施期間(3年間)のうち最初の2年間(平成29,30年度)を資料収集にあてているが,以下のような手順で調査を実施している.(1)調査対象校(秋田県内)を選定し,各学校長から調査の許可を得た上で協力依頼の文書を教員に配布する.(2)秋季に身体活動量を測定するため各学校を訪問し,①同意書,②活動量計とメモ用紙,③質問票を調査対象者へ手渡す.活動量計は普通に勤務する日に,着衣時から脱衣時まで腰部に装着してもらう.(3)一週間後に再度,各学校を訪問して上記①,②,③を回収する. 上記の調査で活動量計については,歩数,運動強度や運動量を記録している.質問紙では,仕事時間を知るためにOECD国際教員指導環境調査と同じ質問をし,基礎資料として性別,年齢,雇用形態,勤務経験年数,指導教科等を質問している.一方,健康状態を知るために国民生活基礎調査(厚生労働省)の健康票にある質問を引用し,自覚症状の有無と症状,通院の有無と傷病名,過去1か月の欠勤日数,現在の健康状態,ストレスの有無とその原因,平均睡眠時間,現在の精神状態,健康行動,健康診断及び各種検診の受診の有無を質問している. 研究実績の概要でも記したように,平成29年度(初年度)に調査した学校教員は合計243人(中学校教員188人,小学校教員55人)と相当数について調査しているので,研究は概ね順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
中学校教員については多人数の資料が得られたので,今後は主として小学校教員を対象にした調査を進め,資料数を増やしていきたい.秋田市の小学校の校長会会長に面会し,調査候補となる小学校の校長を紹介していただく予定である.その後に各小学校に出向き,研究内容を具体的に説明して調査の了解を得る.目下,資料収集の段階であるが,学校教員が身体や精神を病んで休職や離職に追い込まれることなく健康であるためには,職務の実態とその関連要因を把握することが重要であり,そのような観点からデータの分析を進めていきたい.学校教員を対象とした日常の身体活動量,仕事時間,及び健康状態について調査,分析しているものは少ないので,職場での保健健康管理など健康推進活動の展開に役立つようにしていきたい.
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Causes of Carryover |
調査対象者として多人数の協力が得られたので調査に必要な物品費が当初の予想以上のものとなり,計画通りに使用できなかったためである。次年度への繰り越しは少額であるが,次年度は多くの旅費が必要となるので,それと合わせて使用したい。
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