2017 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of the selective brain cooling caused by the pungency-related (intraoral TRPV1 activation) sweating: application to prevention of heat stroke
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17K01828
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
犬飼 洋子 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10308950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 敏 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90184879)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 辛味 / 味覚性発汗 / 選択的脳冷却 / 脳温 / カプサイシン / TRPV1 / 熱中症 / 発汗 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの生理的味覚(辛味)性発汗は顔面・頭部中心に迅速に起こり、全身性の温熱性発汗とは機序が異なる。また、その発汗はカプサイシン受容体(TRPV1)の活性化にほぼ特異的であるが、この受容体は43℃以上の高熱によっても活性化される。また、発汗が迅速ゆえ予測的な制御の可能性がある。以上より、辛味性発汗は、熱に弱い脳をオーバーヒートから予防する機構である可能性がある。ヒトには暑熱時における選択的脳冷却の機能があるが、辛味性発汗によりさらにこれを促進する脳保護効果の検証をする。またこれを、熱中症予防へ応用させたい。 平成29年度は、「カプサイシンなどのTRPV1活性化味覚物質の口腔内投与による、選択的脳冷却の効果の検証」を予定した。当年度には、以下に記すごとく、そのための入念な研究実施計画と、倫理委員会への審査申請を行い、承認された。20~30歳代の健常者(男性10人、女性10人)を対象とする。研究方法としては、最初に全身暑熱刺激を行い、全身性の温熱性発汗を促す。発汗などの熱放散により核心温(脳温)の上昇がほぼ停止した時点(約30分後)で、一味唐辛子150 mgを舌に塗布して辛味刺激を行い、飲み込まないように指示する。これによる、顔面・頭部中心の味覚性発汗により、脳温がさらにどの位低下するかを検証する。味覚刺激物資の例として、一味唐辛子は湿気により辛味が減少し、固まるため、密閉容器に1被験者使用分のみ入れて使用し、残りはジップロック付きの袋で空気を押し出して冷凍庫で保存する。暑熱刺激によって生じる身体的変化(呼吸や心拍数の増加、発汗等)は、適切な休息や補水等により短時間で緩解する可能性があるが、多量の発汗による脱水、気分不快、血圧低下、熱中症症状が起きた場合には、速やかに実験を中止し、必要に応じて当大学病院への受診を促す。以上のごとく、味覚刺激物質の品質管理、健康被害に対する対策、また補償も十分検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で使用する測定器具である2次元レーザー血流画像装置の購入に際し、本研究費の平成29年度の交付額がその価格を下回ってしまったため、予算の組み直しや業者との交渉にかなり時間を要した。また購入後にも本装置の設定、実際に測定可能な状態にするまでに時間を要している。さらに本研究の倫理委員会での審査で、研究プロトコルの詳細、験者・被験者双方の注意点、発汗実験ゆえに被験者の服装がショートパンツ1枚であることから実験時における被験者のプライバシーの保護、被験者と同性の者が検査を行う旨の記載、各味覚刺激物質の品質を保持するための保管法、また、研究代表者が教員で、募集する被験者に本学学生が含まれることから、教育面の利害関係が生じないよう担保するために、学生が研究に参加しても単位取得に影響しないことの取り決め等、審査委員の方々から多数のご指摘、ご示唆を頂き、本研究の質を高めるべく、複数回、入念に検討することで予定よりさらに1か月ほど要し、倫理申請から承認まで4か月を要した。また、当該平成29年度はとくに、研究代表者が複数の国際学会・国内学会において講演、シンポジウムのオーガナイザー、シンポジストを担当させて頂いたため、その時間がかなり占めた。
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Strategy for Future Research Activity |
検討を重ねた研究実施計画に基づき、Ⅰ. カプサイシンなどのTRPV1 活性化味覚物質の口腔内投与による、選択的脳冷却の促進効果の検証を行う。また、Ⅱ. 辛味性発汗を引き起こすのはTRPV1 に特異的かの検証は、当初、別に、平成30年度に計画していたが、ⅠとⅡは同被験者で行うため、平成30年度から両実験を行う。Ⅱについても、各味覚物質の刺激時間や、次の物質刺激までの時間を、反応して出現する徴候の変化に基づいて再検討をしたので、その方法に基づいて行う。
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Causes of Carryover |
倫理委員会申請から承認までに、予定以上の5か月を要したため、年度内に予定していた研究材料(味覚刺激物質)や消耗品の購入が不可能となった。次年度にこれらを購入し、また次年度に計画した研究内容も同時に進める。
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Research Products
(26 results)