2017 Fiscal Year Research-status Report
小中学校におけるけいれん発作対応に関する教育プログラム開発と効果の検証
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17K01832
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
丸山 有希 神戸女子大学, 看護学部, 講師 (50759389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 聡子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 講師 (20616122)
菅野 由美子 神戸女子大学, 看護学部, 講師 (60549145)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | てんかん発作 / 小中学校 / 健康管理 / 坐薬 / 教職員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は学校現場におけるてんかん患児の健康管理を支援するため、学校向けのてんかん発作対応マニュアルの作成と教職員への発作対応に関する教育プログラムの作成・実施・効果の検証を目的としている。 初年度の2017年度は、倫理委員会の審査を受けた後、関係する資料の収集を行った。また、てんかん発作対応マニュアルや、教育プログラムに盛り込む内容についてニーズを調査する目的で、教育委員会を対象に質問紙調査を実施し、養護教諭・担任教諭にはインタビュー調査を実施した。 調査の結果、教育委員会は67件中、13件と回収数は少なかったが、ある程度の状況とニーズを把握することができた。教育委員会は、けいれん発作既往のある子どもの在籍状況の把握については、各学校に任せているところが多く、抗けいれん坐薬対応の整備状況についても、学校に対応を任せているところが多かった。インタビューは、養護教諭対象に2回、担任教諭対象に1回実施した。インタビュー調査の結果、文部科学省からの通達で、てんかん発作に関する坐薬対応が求められていることについて、現場の教員たちには通達の内容が十分に伝わっておらず、制度上のこと、医師法との関係など、学校で坐薬を使用することに関する不安が強い状況であった。あわせて、てんかんという疾患、てんかん発作、抗けいれん坐薬に対する知識が不足していて、学校での対応に不安を覚えている状況がうかがえた。マニュアルの内容について「学校で発作が起きた時の対応」、「発作の見極め方」、「てんかんや発作の医学的知識」などが希望されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画として、関連する資料の収集と文献調査、倫理審査、教育委員会と現場の養護教諭・担任教諭に対するニーズ調査、ニーズ調査の結果分析を挙げていた。文献調査に関しては、今年度も引き続き新しい情報を取得していく予定であるが、計画に挙げていた通り、早い段階で倫理審査で承認が得られ、ニーズ調査のための教育委員会への質問紙調査と、養護教諭・担任教諭へのインタビュー調査も予定通り実施することができた。 ニーズ調査の結果を分析することで、今後の研究として進めていく予定のてんかん対応マニュアル作成と、教職員向けの教育プログラム作成に関して、盛り込むべき内容が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画として、2018年度はてんかん発作対応マニュアルの作成が挙げられる。ニーズ調査の結果を踏まえ、学校現場でてんかん患児の健康管理に使用できるマニュアルを作成する。初年度のニーズ調査の結果で挙がっていた「学校で発作が起きた時の対応」、「発作の見極め方」、「てんかんや発作の医学的知識」などに加え、「学校での坐薬の管理の仕方」、「坐薬を預かるときの手順」等も含め作成する。マニュアルの内容は小児神経科の医師にスーパーバイズを受け、医学的な情報の正確性を高める。また、マニュアルは教育プログラムの実施時にテキストとしても活用できるような内容を意識して作成し、印刷して冊子にする。 今後の計画としてもう1点は、教育プログラムの作成がある。ニーズ調査の結果と教育プログラムを扱った先行研究の手法を参考にし、教職員向けの教育プログラムを作成する。教育プログラムは講義形式の内容と、実技を加えて構成する。 マニュアルは、研究代表者と分担者で分担して執筆し、教育プログラムの作成は、講義、実技の内容ごとに研究代表者と分担者で分担して研修内容を考案する。教育プログラムの内容についても、小児神経科医師の監修を受ける。 2019年度に教育プログラムの実施と評価、最終年度にはプログラム全体の研究結果をまとめて公表する予定である。
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Causes of Carryover |
情報収集のために予定していた小児看護学会、小児保健学会の2つの学術集会の開催地が居住地に近かったため、宿泊費、交通費等の費用が大幅に削減できた。質問紙の回収数が予定より少なかったため、データ入力のための業者委託費用が当初の予定額より少なかった。コピー用紙などの物品は、大学の個人研究費等で購入したものに余剰があり、そちらを優先して使用したため、購入費が予定より削減できた。 研究分担者のうち1名の勤務先が遠方の大学に変更になったため、会議に出席するための交通費が当初の予定より増加する可能性がある。また学会の参加費、交通費が開催地が遠方の場合は予算を超過する可能性もあるため、繰越分の研究費をそれに充てる予定である。今年度配当分の予算については、当初の予定通り、資料収集と調査のための学会参加費用や、31年度の教育プログラム実施に必要な実技研修用の模型、スライド投影用のOA機器等の購入に充て、プログラムの内容を事前に考案する際に活用する。
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