2021 Fiscal Year Research-status Report
女性におけるライフイベント時の身体活動に影響を及ぼす心理社会的要因の解明
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17K01833
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
松本 裕史 武庫川女子大学, 健康・スポーツ科学部, 教授 (20413445)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動機づけ / 身体活動 / 運動 / 育児期女性 / 自己決定理論 / 社会的認知理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、行動変容理論である自己決定理論と社会的認知理論を用いて、女性におけるライフイベント時の身体活動に影響を及ぼす心理社会的要因を解明することである。これまで新型コロナウィルス感染症のパンデミックの影響により、調査を中断せざるを得なかったため、研究期間を延長し、20歳から50歳代女性に対象に量的調査を継続した。今年度は、子供を育てる女性を対象に、心理社会的要因と身体活動量との関連を総合的に検討した。統計解析は、年齢を調整した上で、運動動機づけ、セルフエフィカシー、ソーシャルサポートを独立変数、身体活動量を従属変数とする重回帰分析を行った。その結果、自律的動機づけおよびセルフエフィカシーと身体活動量との間に有意な関連が認められた。一方、子供を育てる女性において運動に関するソーシャルサポートと身体活動量との関連は認められなかった。今回の最も興味深い結果は、運動に関する自律的動機づけおよびセルフエフィカシーといった心理的要因が、運動に関するソーシャルサポートといった社会的要因よりも身体活動量に影響を及ぼす可能性が示唆されたことである。これまで子育て期の女性に対する身体活動支援は、周囲のサポートが重要と考えられてきた。しかしながら、道具的ソーシャルサポートよりも、個人の基本的心理欲求の充足に焦点を当てたサポートが動機づけの変容をもたらす可能性があり、さらなる研究の必要性が指摘できる。今回の成果は、The 9th Asia South Pacific Sports Psychology Congressにおいて「Relationship Between Psychosocial factors and Physical Activity in Japanese Child-Rearing Mothers」のタイトルで発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、国際会議(The International Society of Sport Psychology 15th World Congress)において、研究成果を発表することができた。オンサイトでの発表を予定していたが、コロナによる影響を受けて、オンラインでの発表となった。その後、追加の量的調査を実施することができたため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、新型コロナウィルス終息の見通しが不透明であるため、研究遂行に支障ができる可能性は否定できない。しかしながら、国際学会での発表を通じてディスカッションを深め、国際誌での投稿につなげる予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウィルス感染拡大により、海外の国際学会で発表予定だった旅費を支出しなかったため、次年度使用が生じた。来年度は、国際学会旅費および国際英文誌への投稿料として活用することを視野に入れている。
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Research Products
(5 results)