2018 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋由来の細胞外小胞を介した新しい代謝促進メカニズムの解明
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17K01843
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小林 由直 三重大学, 保健管理センター, 教授 (70378298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 暁子 三重大学, 医学系研究科, 特任助教(研究担当) (00598980)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 運動負荷 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
日常的に運動トレーニングを行なっている大学生17名を対象に、心拍数をモニター管理しながらエルゴメーターによるHIIT(高強度インターバルトレーニング)運動負荷を実施した。HIIT運動負荷前、負荷直後、30分後、120分後で採血し、肝機能・腎機能および糖代謝各種血液マーカー、クレアチニンキナーゼ、及びEVを測定した。全体解析では、運動負荷直後に細胞外小胞(EV)数の有意な増加は認められなかったが、負荷前のEV数が少ない (<2000 particle/μL of plasma)の学生では、運動直後に有意なEV数の増加が認められた (p=0.005)。また全体解析において、負荷30分および120分後のEV数は、負荷前に比較して有意な減少を認めた (負荷前 vs. 30分後, p= 0.006; 負荷前 vs. 120分後, p=0.002)。運動直後にEV数が増加した群では、増加しなかった群に比べ、(1) 負荷前のEV数が少ない、(2) 負荷直後の血圧の上昇が実測値、負荷前値に対する変化率とも有意に高い、(3) 負荷120分後のクレアチニンの変化率が有意に高い、という特徴が認められた。このことより、元々のメタボリックストレスの多寡やHIITによる心肺機能や骨格筋への負荷の多寡が運動によるEV数の変動に影響を及ぼしている可能性が示唆された。 現在、運動直後にEV数が上昇した数名について、EVに含まれるタンパクのショットガン解析を行なっている。ショットガン解析では、運動負荷前後において多くのタンパク質が同定されており、それぞれのタンパク質について、現在詳しい解析を行なっているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は、住民健診受診者を中心とする対象者において、運動調査、身体測定、血液サンプルの採取を行い、血中EV数と各種メタボリック関連因子データとの関連を統計学的に明らかにすることができた。健常者において骨格筋量とEV数が相関したことより、骨格筋由来のEVの存在が示唆された。 今年度は日常的に運動トレーニングを行なっている大学生17名を対象にHIIT運動負荷を実施し、血液サンプルを採取することができた。得られたサンプルからEV数およびタンパク成分の解析を行なっているところであり、運動により増加するEV成分タンパク質を同定中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行なっているEVの成分解析において、臓器特異タンパクに加え、マイクロRNAの解析も加える。 また、特定されたEV成分(タンパク質やマイクロRNA)を培養細胞に添加し、標的細胞の代謝に及ぼす影響についても検討したい。 さらに、得られた骨格筋由来のEVを培養細胞に添加し、標的細胞の代謝の活性化を明らかにしたい。
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