2019 Fiscal Year Annual Research Report
Sex differences in pathophysiological conditions and responses to exercise and diet therapies in obese children
Project/Area Number |
17K01844
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
冨樫 健二 三重大学, 教養教育院, 教授 (10227564)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肥満小児 / 生活習慣病 / 性差 / 内臓脂肪 / インスリン抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
食事療法、運動療法を中心とした肥満小児の長期入院治療成績における性差について検討した。体重や体脂肪、腹部脂肪関連の指標における減少率では肥満男児が肥満女児に比べ有意に高く、肥満女児で低かった。治療開始時の肥満度などに性差は認められなかったことから、思春期を前にした肥満女児ではエストロゲン分泌や高インスリン血症等の影響で生理的に脂肪蓄積の方向へ働くため、体脂肪減少を目的とした治療に対し抵抗性があると考えられた。 肥満男児における内臓脂肪の減少率は女児に比べ約2倍高く、ASTやALTなどの減少率も男児において有意に高かった。横断的な検討では肥満男児の内臓脂肪蓄積と肝機能との間に正の相関関係が認められたが、食事療法や運動療法を基本とした肥満治療によって肥満男児の内臓脂肪は比較的減少しやすく、積極的な減量指導が男児における肝機能障害の予防・改善に有効であると考えられる。 空腹時血糖の減少率に関しては肥満女児の方が男児に比べ有意に高かった。一方、空腹時インスリン値や経口糖負荷試験(OGTT)時のインスリン曲線下面積の減少率に関して性差は認められなかった。肥満治療に伴うインスリン抵抗性改善に関わる因子について、肥満男児では内臓脂肪面積の減少量とOGTT時のインスリン曲線下面積の減少量との間に有意な正の相関を認めたが、肥満女児では認められなかった。一方、肥満女児では減量により体脂肪は減少しているにも関わらずOGTTより求めた減量後のインスリン曲線下面積は出生体重と負の有意な相関を示した。これらの結果は肥満男児のインスリン抵抗性構築は内臓脂肪の蓄積に強く影響を受けるのに対し、肥満女児においてはDOHaDと呼ばれるような胎児期におけるプログラミングの影響が強く、脂肪量が減少したとしても出生体重とインスリン抵抗性との関係性は大きく変化しないと推察された。
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