2019 Fiscal Year Annual Research Report
Application of BirA enzyme-labeling methods for the discovery of health food ingredients to prevent muscle atrophy
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17K01847
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上田 修司 神戸大学, 農学研究科, 助教 (50379400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HSPBs / BioID2 / 筋肉 / ヒートショック蛋白質 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、大腸菌ビオチン修飾酵素のビオチンリガーゼ変異体(BirA)を用いたBioID酵素標識法技術を基盤に、ヒートショック蛋白質(HSPBs)を介した筋肉増減に関わる細胞内シグナル伝達分子の探索を進めている。 本年度は、小胞体ストレスにおけるHSPBsの機能解析として、高齢マウスの骨格筋で、小胞体ストレスマーカーの上昇に伴って、発現が増加するαB-crystallin(HSPB5)に着目し、A. aeolicusのビオチンリガーゼ変異体によるBioID2を用いて、プロテアソーム阻害剤(MG132)による小胞体ストレス条件下におけるHSPB5と近接する蛋白質の網羅的な解析を実施した。その結果、小胞体ストレス刺激後の細胞から310個の相互作用蛋白質の同定に成功した。更に、免疫沈降法より、Polo like kinase2(PLK2)がHSPB5の新規の結合蛋白質であることを明らかにした。PLK2は、アポトーシス関連のリン酸化酵素であり、PLK2をノックダウンすることで、MG132処理によるHSPB5のシャペロン機能に関するセリン19番目のリン酸化が抑制された。また、PLK2のキナーゼ活性阻害剤処理により、MG132処理によるDesmin凝集体とHSPB5の小胞体周辺での共局在が抑制された。HSPB5(WT)の過剰発現は、小胞体ストレスによるアポトーシスを誘導するカスパーゼ3の活性化を抑制するのに対し、リン酸化されないHSPB5変異体の過剰発現では、カスパーゼ3の活性化の抑制は認められなかった。 以上の結果より、筋細胞の小胞体ストレス応答において、PLK2/HSPB5経路を介した細胞ストレス保護機能の存在が示唆された。本研究成果を元に、HSPB5の発現増加に着目した栄養成分の探索を継続することで、筋肉減退の新たに予防の提唱に繋がることが期待される。
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