2018 Fiscal Year Research-status Report
The functions of collagen XVIII in skin aging
Project/Area Number |
17K01848
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
百田 龍輔 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80263557)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 愛二 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50168986)
大橋 俊孝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50194262)
内藤 一郎 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (60362993)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 加齢 / 老化 / 基底膜 / ミトコンドリア / XVIII型コラーゲン / 紫外線 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
団塊世代が後期高齢者となる今後10年間、世界に例を見ない高齢化社会を迎える日本において、介護・医療費の急増を抑えるためにも健康寿命を延ばすことは急務である。人体で最大の臓器であり、社会との境界にある皮膚を健康に保つことは、褥瘡や糖尿病性皮膚潰瘍の予防のみならず、高齢者の肉体的・精神的な自信をもたらし、外出頻度も増加し、筋力増加と認知症の予防となり、所謂“Successful Aging”につながる。 本研究は、真皮・表皮において物理的な構成成分としてのみならず、ミトコンドリアの活性にも影響しうるXVIII型コラーゲンの変化による基底膜の劣化が、皮膚の老化を進める原因の一つであるとの仮説に基づき、XVIII型コラーゲンの皮膚における細胞生物学的な機能の加齢による変化について検討し、XVIII型コラーゲン関連疾患の検索、その簡便な診断法と皮膚の老化予防法の開発を目指す。 平成30年度は、ヒト皮膚における遺伝子発現の加齢に伴う変化とその予防の可能性について解析を行った。ヒト皮膚、そしてXVIII型コラーゲン欠損マウスに対し、網羅的な遺伝子発現の解析を行い、XVIII型コラーゲンの有無・加齢による生物学的経路と組織学的な変化の検討を中心に研究を進めた。透過・走査型電子顕微鏡を用いて両群マウスの組織微細構造の比較を行った結果、興味深い知見が得られさらに解析を進めている。両群マウスについて網羅的に遺伝子発現のプロファイルを比較し、遺伝子改変マウスで発現に変化が見られた遺伝子群を同定した。それらが関わる分子生物学的な経路について、生化学的・組織学的な解析を進めている。また、カルシウムの分布に関わると考えられるVitamin Dの濃度の比較を行ったが、有意な差は認められなかった。しかし、それ以外の血清成分について興味深い違いが見られたのでその経路に注目して詳細な解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物を用いた実験について、XVIII型コラーゲン遺伝子改変マウスと野性型マウスを入手し、飼育を開始し、組織の基底膜構造について検討を進めている。IV型コラーゲン各α鎖、XVIII型コラーゲン抗体、その他による免疫染色条件の検討を行い、至適条件を見出した。透過・走査型電子顕微鏡を用いて両群マウスの組織微細構造の比較を行った結果、興味深い知見が得られさらに解析を進めている。 両群マウスについて網羅的に遺伝子発現のプロファイルを比較し、遺伝子改変マウスで発現に変化が見られた遺伝子群を同定した。それらが関わる分子生物学的な経路について、生化学的・組織学的な解析を進めている。 同じ週齢の両群マウスについて、ミトコンドリアの活性・カルシウムの分布に関わっていると考えられる血清中Vitamin Dの濃度の比較を行ったが、有意な差は認められなかった。しかし、それ以外の血清成分について興味深い違いが見られたのでその経路に注目して詳細な解析を進めている。 細胞を用いた実験は遅れがあるが、ヒト皮膚の老化と基底膜成分の遺伝子発現の変化に関する解析で興味深い結果が得られ、論文にまとめることができたので上記のように判断した。 これらを総合的に見て、全体としてはおおむね順調であると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(今後の方策)細胞培養系でXVIII型コラーゲンの発現抑制・過剰発現による細胞生物学的な解析を進めてゆく。 ・XVIII型コラーゲン遺伝子改変マウスと野生型マウスについて、令和元年度も引き続き基底膜構造の変化について抗IV・抗XVIII型コラーゲン抗体、細胞小器官のマーカーなどを用いて免疫染色による比較検討を行う。また、両群のマウスに見られた血清成分の違いについて、その成分が関係する代謝経路を中心に詳細な解析を行う。 ・血清成分の違いに関わっていると考えられる組織について、免疫組織化学染色・電子顕微鏡を用いた解析を進める。 ・侵襲の少ない簡便なXVIII型コラーゲン検出方法の開発について、さらに皮膚の加齢性の変化に注目して解析を行う。 ・加齢により遺伝子発現が変化する遺伝子についてそれらを利用した非侵襲的な検出法の開発を進める。
|
Causes of Carryover |
本研究結果に関連して先日発表したヒト皮膚の老化と遺伝子発現の変化に関する論文について、準備・校正に時間を要してしまった。ノックアウトマウスの解析で予期せぬ結果が出て、その解析に時間を要していること、培養実験系での検討が遅れていることが理由として挙げられる。今年度は動物を用いた実験に関連して飼育費、細胞培養関連の機器と試薬、キットなどの消耗品と、解析装置を購入し研究費を使わせてもらう予定である。
|
Research Products
(3 results)