2017 Fiscal Year Research-status Report
過栄養性脂肪肝発症における膵臓―脳―肝臓の臓器間ネットワークと腸内細菌叢の関与
Project/Area Number |
17K01855
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加隈 哲也 大分大学, 保健管理センター, 准教授 (80343359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 講師 (00423715)
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 助教 (10457624)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵β細胞特異的TNFα過剰発現マウス / グルカゴン / AVP / 腸内細菌叢 / Firmicutes / Verrucomicrobia / 肥満抵抗性 / 糖尿病抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の元になる膵β細胞特異的TNFα過剰発現マウス(TNFαTgマウス)の表現型を再検証した。TNFαTgマウスではグルカゴン陽性細胞はほとんど同定できなかったが、血中グルカゴンは測定可能であり、実際の血中濃度は野生型マウスとほぼ同等であった。現在定量法の問題も指摘されていることから、サンドイッチ法を用いたアッセイで再検討した。随時のグルカゴンは野生型の2倍以上、また60%高脂肪食、30%高ショ糖食でもそれぞれ野生型より有意に高値を示していた。既述の過栄養負荷に対し、TNFαTgマウスの血糖は低値であったことから、機能的に低下した変異グルカゴンがdetectされているものと推察された。 一方で、TNFαTgマウスではAVPが1.6倍ほど有意に上昇しているが、このAVPの発現変化がTNFαの視床下部での異所性発現によらないことを免疫染色ならびにin situ hybridizationで確認した。また本マウスの血清Naは低下なく、BUNは同等、Crは正常範囲内でやや低下しており、SIADHの所見は観察されなかったが、水の再吸収が亢進していることを示唆しており、本マウスの飲水量低下の原因になっているものと考えられられた。 腸内細菌叢の検討では、Firmicutes門が明らかに多く、Firmicutes/Bacteroides比が高かった。さらに過栄養負荷時、特に60%高脂肪食負荷時にはVerrucomicrobiaの増加が特徴的であり、この保有量は肥満と逆相関することが報告されていることから、本マウスの肥満抵抗性、糖尿病抵抗性の一因となることが推察された。またFirmicutes門の増加は、GLP1の高値や腸間膜脂肪の増加が少ないこと、さらに体重や脂肪量が低いにもかかわらずレプチンが高値を示した原因の一つであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主なテーマである膵β細胞特異的TNFα過剰発現マウス(TNFαTgマウス)の表現型の再確認と腸内細菌叢の検討はできたが、脂肪肝抵抗性についての検証ができなかった。一方で次年度以降に目標としている神経遮断実験のpreliminaryな研究を始めている。研究の順番が若干前後するもののデータの収集はまずまず順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には研究計画に則って研究を進める。肝臓重量の低下を伴った脂肪肝抵抗性の検証について、肝臓のメタボローム解析を中心に行う。また神経遮断実験についてはテクニックを上げて、本番実験に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
一番大きな理由は代用できる研究費があったことであるが、特に本マウスの表現型を検討する際の研究費として、保健管理センター内の自身に割り当てられている研究費を使用できたこと。また免疫染色に関しては、常時行っている他施設に廉価で依頼できたことが大きい。今後は、肝臓のメタボローム解析また求心性・遠心性の迷走神経遮断モデルの検討を行うため、未使用額の予算を使用したいと考えている
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Research Products
(1 results)