2018 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎不全の進行に伴う認知機能低下機構の解明-神経新生抑制の関与
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17K01865
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
片倉 賢紀 城西大学, 薬学部, 准教授 (40383179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紫藤 治 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (40175386)
松崎 健太郎 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (90457185)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 5/6腎摘出モデル / スクロース嗜好性 / 新規物体認識試験 / 神経新生 / 慢性腎不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎不全は認知機能低下の危険因子の一つであることが示唆されているが、詳細は明らかではない。脳内で新たなニューロンが誕生し、既存の神経ネットワークに組み込まれることを神経新生という。私たちは神経新生の促進させることが認知機能の改善に関与することを明らかにしてきた。本研究では、腎不全により神経新生が抑制され、これに伴い脳の構造的な変化をきたし、認知機能の低下に繋がるのではないかと考え、検証することとした。 本年度は慢性腎不全モデルラットの行動変化、認知機能、血圧の変化を解析した。スクロース嗜好試験では腎不全群でコントロール群と比較して有意にスクロース嗜好性が低下した。認知機能を測定するために、新規物体認識試験を行った。その結果、腎不全群でコントロール群と比較して有意に新規物体探索時間が減少した。腎不全処置後、血圧は一過性に増加したが、行動実験試行時にはコントロール群と同程度魔で低下していた。 神経新生の指標として、チミジンアナログで細胞でDNAが複製される際にDNAに取り込まれるブロモデオキシウリジン(BrdU)をラットに投与し、脳切片を免疫組織学的に解析の結果、海馬歯状回のBrdU陽性細胞数が慢性腎不全群で有意に低下していた。以上の結果から慢性腎不全により脳内で神経新生が低下していること、新規物体に対する探索時間が低下するなどの行動に変化が認められたが、これらには血圧の影響は低いことも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 目標である行動試験の結果、脳の組織学的解析が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は尿毒症物質の探索を重点的に行う。
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Causes of Carryover |
予定していた実験もほぼ順調に進行している。論文投稿費の請求が年度内に来なかったため差額が生じたと考えている。次年度尿毒症物質の分析、論文作成、学会発表等を行う。
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Research Products
(8 results)