2018 Fiscal Year Research-status Report
胎児期から小児期の成長の軌跡を指標とした生活習慣病への先制医療の確立
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17K01867
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
菊池 透 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10240772)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 血圧 / 肥満 / 小児 / トラッキング / 成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
新潟県見附市および五泉市で2013年以前に実施された小児血圧健診および小児生活習慣病健診の匿名された約12,000名のデータから、解析用データベースを作成した。 小児血圧健診のデータベースを基に小中学生の各学年の血圧の平均値±標準偏差をもとめた。また、体格等との関連を検討した。その結果、小中学生の血圧は、身長SDスコアおよび肥満度と正の相関があり、高学年になるにつれて、肥満度との関連が強くなっていた。小児期からの肥満予防が、その後の高血圧発症予防にとって重要であることがあきらかになった。これらの結果は、日本高血圧学会編、高血圧診療ガイドライン2019の参考になった。 小児生活習慣病健診のデータベースを基に、3歳時から6歳時時までのBMI増加および10歳時の腹囲と、10歳時のインスリンとの関連を解析した。その結果、両者は独立して、高インスリン血症と関連していた。したがって、思春期以降の高インスリン血症を予防するためには、幼児期の肥満予防が重要であることが明らかになった。 また、小児生活習慣病健診のデータベースを基に、小児の中等度から高度肥満における代謝合併症の頻度を解析した。その結果、腹囲増大99.8%、高血圧4.4%、耐糖能異常1.2%、非アルコール性脂肪性肝疾患34.1%、高インスリン血症31.9%、脂質異常26.2%、高尿酸血症24.2%であった。全体の99.8%は、小児肥満症と診断された。肥満度30%以上の中等度肥満小児は、小児肥満症に準じた対応をするべきと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存の匿名化された小児の生活習慣病健診データの解析用データベースの作成が一部完成し、解析中である。 見附市小児生活習慣病健診の受診者に対する郵送健診やアンケート調査などの追跡調査研究は、来年度実施する。本調査研究に関して、見附市と共に詳細な研究計画書を作成した。見附市と締結書を交わし、2019年5月3日の見附市成人式で、研究参加者の募集を行う予定である。郵送健診委託業者との調整も終了し、契約予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の匿名化された小児の生活習慣病健診データの解析用データベースの作成を進行させる。特に、身長、体重、BMI、腹囲などの成長指標の縦断的解析データベースを作成する。解析結果は、小児科学会、糖尿病学会、肥満学会等で発表し、論文化する。 見附市小児生活習慣病健診の受診者に対する追跡調査研究は、2019年5月3日の見附市成人式に、研究参加者を募集する。研究参加者に対して郵送健診やアンケート調査を実施予定である。2019年7月ごろ、調査結果が判明し、その後解析を開始し、2019年度内に論文化、学会発表の予定である。
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Causes of Carryover |
見附市小児生活習慣病健診の受診者に対する追跡調査研究を2019年度に実施予定である。その研究の遂行のためには、郵送健診費用、研究参加者への謝礼、通信費等の研究費が必要である。そのため、2018年度の使用額を控え、2019年度に使用する予定である。
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