2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanisms of cancer cachexia-induced heart failure: Toward the development of novel cancer treatment combined with excise therapy
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17K01884
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
上野 晋 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (00279324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 美希 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (60758077)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん悪液質 / モデルマウス / 心機能障害 / 自発運動 / ユビキチン・プロテアソーム系 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの成果として、ヒト胃がん細胞株85As2を移植したマウスにおいて、がん悪液質症状(体重、累積摂餌量、および骨格筋重量の減少)ととともに心機能障害(心臓重量および左室駆出率の減少)が出現すること、心筋および骨格筋の組織学的検査においては骨格筋組織で筋線維の萎縮像、心筋組織では心筋細胞が融解変性しているような組織像を確認していた。今年度は骨格筋組織および心筋組織の変化に係わる分子機序について検討した。 サルコペニアにおける骨格筋萎縮についてはユビキチンリガーゼであるAtrogin-1とMuRF1の発現量が増加することが知られているが、本研究でも85As2細胞移植後8週のマウスより採取した骨格筋において両者は対照群と比べて顕著に増加していた。 一方、85As2細胞移植後8週のマウスから採取した心筋組織について、マイクロアレイ解析を用い対照群と比べ発現量に変動のあった遺伝子群を解析した。その結果、発現量が増加した遺伝子群は224遺伝子、減少した遺伝子群は305遺伝子だった。さらに移植後0週から8週にかけて発現量が増加または減少した遺伝子群について、各々のKEGGパスウェイに基づくエンリッチメント解析を行ったところ、Neuroactive ligand-receptor interactionパスウェイが増加遺伝子群の最上位、ECM-receptor interactionパスウェイが減少遺伝子群の最上位に上がった。これらの遺伝子群の中で重要となる遺伝子を特定すべく現在検討中である。 研究期間を通して、ヒト胃がん細胞株85As2を移植したマウスは心機能障害を伴うがん悪液質モデルマウスとしての表現型を示しており、回転かごによる自発運動は悪液質症状のみならず心機能障害に対しても治療効果を発揮すること、骨格筋萎縮にはユビキチン・プロテアソーム系が関与していることが判明した。
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Research Products
(5 results)