2017 Fiscal Year Research-status Report
保育における「おもしろさ」の生成過程に関する現象学的研究:園文化の視点から
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17K01897
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
東村 知子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (30432587)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保育 / 遊び / おもしろさ / 園文化 / マルチヴォーカル・エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「保育における『おもしろさ』は実践の中でいかに生み出されるか」を「園文化」という視点から明らかにしようとするものである。平成29年度は、遊び・保育のおもしろさ、および園文化に関するデータ収集を中心に行った。具体的には、ある私立保育園(A園)において保育観察を行い、ある日の5歳児クラスの保育について、撮影したビデオデータから担任保育者の保育の特徴がよくあらわれていると思われた場面を抽出してビデオクリップを作成した。Tobinら(2009)によるマルチヴォーカル・エスノグラフィーにヒントを得て、作成したビデオクリップをA園の保育者2名(担任保育者と主任保育者)に見てもらいながらフィードバック・インタビューを行った。また、同じビデオクリップをスウェーデン・ヨンショーピング大学の研究者と大学院生にも見てもらい、ディスカッションを行った。 A園の保育者へのインタビューでは、担任保育者の意図や願いが筆者に対して明らかにされるだけでなく、研究者という外部者が入り、ビデオを共有しながら話し合うことによって、園内で必ずしも明確に言語化されてはいないが共有されている価値が、A園の保育者にとってあらためて可視化されることにつながった。またインタビューの様子からは、保育者ひとりひとりの個性や考えが尊重され、立場や経験を超えて互いの違いから学び合えるというA園の園文化が明らかになった。 スウェーデンの研究者らとのディスカッションでは、保育と遊びを見る視点に筆者やA園の保育者とのズレがあることが見出され、このズレを手掛かりに、A園の保育実践の特徴を明らかにできるのではないかという手応えが得られた。以上の結果について、日本発達心理学会第29回大会においてポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究協力を依頼していた幼稚園でのフィールドワークができなくなり、新たな協力園を探すことになった。そのため、研究開始が遅れたが、上述のA園の協力が得られ、ほぼ予定どおり保育観察を行うことができた。次年度に予定していたフィードバック・インタビューも、平成29年度中に行うことができた。スウェーデンの保育施設の視察と研究者とのディスカッションも計画通り行った。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューのなかで、A園の保育者の側から、「園文化」はどのように形成されるのだろうかという疑問が出された。今後はA園の保育者と協同してこの問いに取り組み、A園における「文化」とその一つの要因としての「保育と遊びのおもしろさ」を明らかにしていくことを目指す。特に、4歳児クラスを卒園までの2年間継続して観察し、子どもたちの遊びや保育の変化を長期的な視点から明らかにしたいと考えている。並行して、もう一つの協力園(B園)でもA園と同様の観察およびインタビューを行う。なお、当初の研究計画では、スウェーデンの保育施設でもビデオを用いた観察を行う予定であったが、外部の研究者がビデオ撮影の許可を得ることはかなり困難であることがわかった。そこでビデオ撮影は日本の2園においてのみ行い、日本の保育におけるおもしろさおよび園文化に焦点を絞ることにする。スウェーデンの保育については、日本の保育を見るための視点を得ることを目的として、継続して調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究対象の園を中部地方の幼稚園から京都市内の保育園に変更したことにより、旅費が計画より少なくなった。次年度は国際集会での発表を予定しており、その参加費および旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)