2018 Fiscal Year Research-status Report
保育における「おもしろさ」の生成過程に関する現象学的研究:園文化の視点から
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17K01897
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
東村 知子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (30432587)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保育 / 遊び / おもしろさ / 園文化 / フィールドワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「保育における『おもしろさ』は実践の中でいかに生み出されるか」を「園文化」という視点から明らかにしようとするものである。平成30年度は、協力園(A園・B園)でのデータ収集を継続しながら、収集したデータの一部について分析と論文作成、学会発表を行った。具体的には、ある日の5歳児クラスで行われた、ダンボール製の筒という廃材で「魔女のほうき」を作り、それを使って遊ぶという活動に注目し、その活動の展開過程をアーティファクト(人工物)とそのアフォーダンスという理論的視点から分析した。子どもたちが制作物およびその素材の筒を使って生み出した行為のレパートリーは27種類抽出され、また子ども同士のさまざまな相互行為も生まれていた。こうした子どもたちの行為と相互行為の多様性を検討することで、保育実践における遊びのもつ多面的なありようの一端を描き出した。以上の結果については、「発達・療育研究」(京都国際社会福祉センター紀要)に論文としてまとめるとともに、メキシコで行われた国際学会(The Taos Institute Silver Jubilee)においてポスター発表を行った。上記以外にも、A園で定期的なフィールドワークを行い、職員全員が出席する研修会にも参加して、A園の園文化に関するデータを収集した。また、B園でも保育観察を月1回程度行い、園内研究会にも出席してデータを収集した。今後は、これまで収集したデータの分析を行い、それらを統合することで、A園・B園の園文化と、その中で保育における「おもしろさ」がいかに生み出されているかをまとめていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、協力園での定期的なデータ収集と分析を行い、その結果を論文および国際学会で発表することができたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
過去2年間に実施した、A園・B園での保育観察と研修会の参与観察、および職員へのインタビューのデータ分析を行う。保育場面のデータは、特に子どもの言葉と保育者の言葉かけの観点から、また研修会等のデータは、保育者が子どもや保育についてどのように語る(語り合う)のか、という観点から検討する。それぞれの園での分析結果を統合して園文化を描き出すとともに、二つの園のデータの比較、および分析結果を踏まえたフィードバック・インタビューから、園文化や遊びと保育のおもしろさの園による違いおよび共通点についても考察する。
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Causes of Carryover |
国際学会参加のための旅費および参加費において、予定していた金額との誤差があり、次年度使用額が生じた。翌年度分の助成金と合わせて、学会参加費の一部に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)