2021 Fiscal Year Annual Research Report
A phenomenological study on the generative process of "interestingness" in preschool education: From the perspective of preschool culture
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17K01897
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
東村 知子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (30432587)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保育 / 遊び / おもしろさ / 価値 / 個と集団 / 園文化 / 偶然性 / 伝播性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「保育における『おもしろさ』は実践の中でいかに生み出されるか」を「園文化」という視点から明らかにしようとするものである。 2021年度は、2020年度に収集した保育データの分析と、全体の総括に取り組んだ。データ分析では、(1)一人ひとりの子どもの支援と集団の遊びを保育者がどのように両立させているかという観点から、ある一日の保育について、観察および事後協議での保育者の語りから考察し、その実践のありようを描き出した。(2)保育者が語った子ども同士のトラブルの事例について、「価値」という視点から検討を行い、相矛盾する多様な価値の間で瞬時に選びとっていくことが、保育の難しさでありおもしろさでもある可能性を指摘した。(3)病気のため身体的介助を必要とする一人の幼児の事例について、幼稚園での支援の経過をまとめ、多様な子どもたちがいる中で保育のおもしろさを生み出していくことの難しさの一端を明らかにした。 研究期間全体を通して、支援を必要とする子どもが複数いるクラスにおいて個と集団をどうつないでいくかという視点を軸として、二つの園で保育場面の観察と分析を行った。その結果、保育における遊びのおもしろさを生み出す鍵として、多様性、偶然性、伝播性の3つの概念が見出された。興味や関係の結び方の多様な子どもたちが共に参加するインクルーシブな環境において、保育者は、今いるメンバー、今ある環境、ものの関係を丁寧につなぎ合わせながら、集団の遊びを生み出していく。そのプロセスには、思いもよらないものがつながるという偶然性や、子ども同士が模倣しあったり声を合わせたりすることによる伝播性もはたらいている。子どもがしたことや考えたことが複雑に絡み合う中で、他にはないたった一つの保育のあり方が作られていること、その積み重ねが、それぞれの園の文化の生成につながっている可能性を見出した。
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Research Products
(4 results)