2017 Fiscal Year Research-status Report
異年齢教育による障害の「不可視化」機能:インクルーシブ教育の新次元
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17K01900
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小渕 隆司 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50457818)
戸田 竜也 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (60352639)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 障害 / 異年齢教育 / 複式学級 / インクルーシブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度においては,大きくは以下の2つの研究を行った。 1つは,釧路管内・根室管内のへき地にある複式学級に注目して研究を行った。具体的には,4つの小学校フィールドワークを行い,その結果をもとにレビュー論文を,共同研究者とともに執筆した。その中で明らかになったことは,複式学級に在籍する障害のある児童の心理状態についてのレビューは少ないことである。また,同時に複式学級の授業が,特別支援を必要する子どもを包摂しうる意義があることを,インタビューから明らかにすることができた。へき地教育と特別支援教育の接点は,これまであまり注目されなかった点であり,この点に先鞭をつけたという意味で意義がある。 2つは,イギリス・ケンブリッジで異年齢教育を実施している公立小学校を訪問し,校長や教員にインタビューを行った。現地では,異年齢教育の実施にそもそも日本ほど抵抗感がないこと,また,学力についても落ち込みがみられないこと,などを明らかにすることができた。世界的な視点から異年齢教育を考えるきっかけとつながりを,この1年目で明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り,複式学級へのフィールドワークを行い,レビューやインタビューを実施することができた。次年度以降の定量的な調査の足がかりができた。さらに,イギリスでの異年齢教育(複式学級)の授業見学・インタビューも実施することができた。ただ,予定していたシラキュースには訪問・研究することができず,その点は次年度への課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は,複式学級に在籍する児童を対象に,質問紙調査を実施し,対象児童の自尊感情や学習活動への態度,障害のある子どもへの態度などを調べる予定である。同時に,単式学級に在籍する児童にも調査を行い,その比較検討を行う。 加えて,ニューヨーク州,シラキュースにある異年齢教育を実施している私立小学校(New School)を訪問し,障害児が異年齢教育の場でどのように学んでいるのかについて,観察・インタビューを行う。
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Causes of Carryover |
2017年度は,予定していたアメリカ・シラキュースへの訪問ができなかったために,次年度使用額が生じた。2018年度にシラキュースに訪問を予定して,そこで使用する予定である。
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Research Products
(10 results)