2018 Fiscal Year Research-status Report
神経生物学的アプローチによる「自己顔認知能力」発達過程の包括的解明
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17K01904
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
土居 裕和 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (40437827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽見 航 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40714895) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己顔 / 遺伝子多型 / ホルモン / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己顔認知は、社会的認知の中核をなす重要な認知機能である、本研究は、自己顔認識の乳幼児期~若年成人期における発達過程と、その個人差を生じる生物学的基盤の解明を目的としている。 現在進捗中の研究は、成人を対象とした基礎研究と、乳幼児を対象とした研究に大別される。成人を対象とした基礎研究では、心理物理学計測と唾液中ホルモン測定を併用し、自己顔に対する注意反応の個人差を生じる内分泌学的因子を探索的に検証した。その結果、若年成人女性では、性ホルモン分泌レベルが自己顔に対する注意反応と特異的に関連するが、成人男性ではこのような関連性がみられないことを見出した。また、自己顔認知に関連した研究として、自他の主観的状態を明確に区別することが必要な、他者視点取得課題を遂行中の成人自閉スぺクトラム症患者の行動を、定型発達成人と比較した。その結果、成人自閉スペクトラム症患者の行動は、定型発達成人のそれに比べ、他者の主観的状態に影響を受けにくいことが明らかになった。以上の研究は、発達症を含む自己認知の個人差とその生物学的基盤に関して、新たな知見を提供するものである。 一方、小児を対象とした研究では、自己顔観察中の生理反応計測系立ち上げのための予備検証を開始した。既に、同計測系を用いた実験実施のためのフィールドも確保した他、乳幼児用の刺激の選別、刺激提示プログラムの作成を行うなど、最終年度の乳幼児を対象とした計測の実施に向けて、準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
若年成人を対象に既に、自己顔認知と内分泌機能の関連性について新規知見を見出した。一方、小児を対象とした研究は、未だ非接触型生理計測系の立ち上げを行っている状態であり、当初予定より若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、若年成人を対象に得た新規知見の論文化に取り組むと共に、乳幼児を対象とした新規計測系の立ち上げと、それを用いた研究目標の完遂に重点をおいた研究活動を展開し、研究目的の達成を目指す。
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Causes of Carryover |
乳幼児を対象とした研究の本実験を開始するに至らなかったため、支出を予定していた謝金等が見込み額と食い違った。今後、遅れているデータ収集を実施する際、被験者謝金として支出する予定である。
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Research Products
(6 results)