2019 Fiscal Year Annual Research Report
Carcinogenic mechanism of childhood radiation exposure
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17K01939
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 敦子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線影響研究部, 主任技術員(任常) (30443063)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線 / 発がん / 遺伝子変異 / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
原爆被爆者や医療被ばくを受けた患者を対象とした疫学調査により、放射線による発がんは被ばく時の年齢の影響を受けることが明らかにされている。とくに小児においては、白血病や甲状腺がんの増加が観察されている事から、こどもは放射線に対する発がん感受性が高いと考えられている。これまでに異なる週齢で放射線を照射したマウスに誘発された胸腺リンパ腫の解析から、原因となる一部の遺伝子では、被ばく時の年齢によって変異パターンが異なることを報告している。 本研究課題では、ヒト急性T細胞性白血病のモデルマウスを用いて、照射時年齢の異なるマウスに発症した胸腺リンパ腫の次世代シークエンサーを用いたエクソーム解析及びDNAメチル化解析を行うことで、被ばく時年齢に依存した遺伝子変異パターンの全容と発がんのメカニズムの全体像を明らかにする事を目的とした。 平成30年度までに、放射線被ばく時年齢が新生児期、幼若期、成体期と異なるマウスより発症した胸腺リンパ腫について、全エクソーム解析及びDNAメチル化解析を行い、データを取得した。最終年度では、取得したデータを用いてバイオインフォマティクス解析を行った。全エクソームデータの解析結果、照射時年齢の違いによってゲノム変異パターンが異なる遺伝子候補を複数同定した。また、DNAメチル化データの解析結果、照射時年齢と関連してメチル化状態の変化を示すゲノムDNA領域を複数同定した。同定したメチル化領域の数は照射時年齢と関連して増加する傾向が見られた。さらに先行研究で取得している遺伝子発現データを用いて遺伝子発現プロファイル解析を行い、照射時年齢と関連して発現変化を示す遺伝子を複数同定した。同定した遺伝子についてパスウェイ解析を行った結果、照射時年齢が低いほど細胞周期や炎症に関わるパスウェイが関連している事が示唆された。
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Research Products
(1 results)