2017 Fiscal Year Research-status Report
抗癌剤耐性関連タンパク質HSPB1の構造機能相関の解明とその臨床応用
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17K01955
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
境 晶子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (30225750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 覚 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50595741)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗癌剤耐性 / HSP1B / オリゴマー構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの癌の治療法として抗癌剤による化学療法が重要であるが,抗癌剤に対する感受性の低下(耐性獲得)が治療上の問題となる。申請者は,抗癌剤である5-フルオロウラシル(5-FU)耐性大腸癌細胞のプロテオーム解析によって,5-FU感受性の低下と関連するタンパク質の一つとしてheat shock protein β-1 (HSPB1) を見出した。耐性株で増加したHSPB1のリン酸化されたアミノ酸残基を決定し,種々の分子量のオリゴマーが存在すること,それぞれのオリゴマーでリン酸化状態が異なること,HSPB1と相互作用するタンパク質の1つが細胞骨格タンパク質のcytokeratinであることを確認した。本研究の目的は,抗癌剤耐性獲得におけるHSPB1の機能を,翻訳後修飾・オリゴマー構造・他のタンパク質との相互作用を解析することで明らかにし,及び耐性獲得マーカーとして有用性を検討することである。 5-FUとは異なる作用機序をもつ抗癌剤であるpaclitaxel (PTX) 耐性株におけるHSPB1の発現レベルは,PTX感受性株において既に5-FU耐性株より高く,PTX耐性株ではそれが減少していることを確認した。本年度は,5-FU耐性株とPTX耐性株におけるHSPB1のリン酸化やオリゴマー化,cytokeratinサブタイプとの相互作用の状態を調べた所,これらが異なっていることを見いだした。また,HSPB1と相互作用するタンパク質として,cytokeratin以外に同じ低分子熱ショック蛋白質であるHSPB6やアクチンの可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
5-FU耐性株で注目したHSPB1は,リン酸化や様々な高分子量のオリゴマーを形成することがその活性発現に関与していると考えられている。HSPB1と相互作用するタンパク質として同定した複数のcytokeratinサブタイプとHSPB1オリゴマーとの会合状態やHSPB1の構造変化を調べ,これらが5-FU耐性株と他の抗癌剤耐性株では異なることを見いだした。また,cytokeratin以外の相互作用タンパク質としてHSPB6などを同定した。しかし本年度は研究に割く時間が少なくやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
5-FU以外の抗癌剤耐性株におけるHSPB1のオリゴマー化とリン酸化の詳細な検討を行い,その相違点を明らかにし,これらが抗癌剤特異的であるのかを明らかにする予定である。また,cytokeratin以外の相互作用タンパク質についても今年度得られた予備的結果を元に解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の計画が遅れているため次年度使用額が生じた。次年度の研究計画を行うため必要となる物品費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)