2017 Fiscal Year Research-status Report
RNase Hを利用したmRNAの増幅的検出法の開発と薬剤スクリーニングへの応用
Project/Area Number |
17K01965
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
春木 満 日本大学, 工学部, 教授 (30273593)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RNase H / DNA/RNAヘテロ二重鎖 / RNA発現解析 / ハイスループットスクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,標的RNA依存的にRNase Hにより切断され,蛍光シグナルが蓄積して増幅されることにより,微量のmRNAを検出する新規プローブを開発することを目的とする。 作製するプローブ配列は,AU塩基対9個からなるステム&ループ構造をとり,標的配列が存在しない場合はDNA部分と2’-Oメチル化されたRNAが対合してRNase Hにより切断されないようにする。標的配列に相補的な配列を両端に付加し,さらにステム形成のためのクランプ配列を付加す5’末端をFITC,3’末端をそのクエンチャーでラベルし,モレキュラービーコン型構造とする。標的配列が存在する場合は,標的配列に相補的な部分と塩基対を形成し,ステム部分の塩基対がずれてDNA部分と非修飾RNAが対合してRNase Hにより切断されるようになると期待される。 最初に設計したプローブ1に,ターゲットRNAを加えると蛍光強度の増加がみられ,ターゲットRNAとハイブリダイズすることが確認されたが,ターゲットRNAが存在しない場合でも,プローブ単独でRNase Hにより切断されてしまうことが判明した。これはAU塩基対がずれて形成されることにより,DNA部分とメチル化されていないRNAが対合してRNase Hにより切断されたと考えられる。そこで,AU塩基対のステムに隣接する部分にGC塩基対を2個導入したプローブ2を作成した。プローブ2はRNase Hによる切断は受けなかったが,ターゲットRNAに結合した場合の蛍光強度の変化がプローブ1の1/10程度であり,ステム構造が安定すぎてターゲットに結合しにくいことが示唆された。また,ターゲットRNAへ結合した後にRNase Hにより切断されても蛍光強度の増加が少なく,分解後にターゲットRNAから離れにくくターンオーバーがあまり生じていないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では,ターゲットRNAに結合後,RNase Hにより切断されて効率よくターンオーバーするように配列が最適化されたプローブの作成までを行う予定であった。しかしながら,当初に設計したプローブは,単独でもRNase Hにより切断されてしまい,改良したプローブではRNase Hには切断されないかわりにターゲットRNAに結合しにくく,またターンオーバー効率も低い結果となった。このように,効率よくターンオーバーさせることに難航しており,最適化までには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
プローブ2はステム構造が安定すぎてターゲットに結合しにくいことが示唆されたので,ステム構造に隣接するGC塩基対を1個に減らす。また,分解後にターゲットRNAから離れにくくターンオーバーがあまり生じていないことが示唆されたので,ターゲットRNAと形成する塩基対の数を減らしてターゲットRNAから解離しやすくする。以上の検討を行うことにより,効率よくターンオーバーするように配列を最適化する。
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Causes of Carryover |
前年度は,反応条件検討のためのプローブやターゲットRNAなどの試薬を主に購入した。必要な費用は予定より少なかったため未使用の研究費が若干生じたが,配列の最適化が達成されておらず,次年度にその費用として必要である。当初の次年度分の研究費は,作成したプローブにより細胞内でRNAを検出する実験に使用する予定である。
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