2017 Fiscal Year Research-status Report
Analysis and regulation of cellular function of topologies of nucleic acid quadruplex.
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17K01968
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
高橋 俊太郎 甲南大学, 先端生命工学研究所, 講師 (40456257)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DNA複製 / 熱力学 / 動力学 / グアニン四重鎖 / i-motif構造 / トポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は核酸四重鎖構造のトポロジーの細胞内での役割を物理化学的解析を通して理解することである。H29年度は複製反応におけるDNA四重鎖構造の影響を定量的に調べる手法の開発と解析を行った。四重鎖構造の安定性はUVメルティング法で解析した。さらに複製反応については、鋳型核酸上に四重鎖を形成する配列を設計し、蛍光ラベルしたプライマーからの複製反応をKlenow Fragment DNA polymeraseを用いてその経時変化を電気泳動で解析した。その結果、四重鎖の熱安定性が高いほど複製反応を阻害する効果が強まった。その一方、四重鎖のトポロジーの違いによってその複製阻害効果は大きく異なった。特に、i-motif構造に対する複製反応への阻害効果が最も強いことが見出された。四重鎖構造の安定性と複製効率の定量的な解析の結果、各四重鎖構造に対する複製反応の活性化エネルギーが異なることが複製の四重鎖トポロジー依存性の原因であることが確認された。さらに同じDNA配列においても、分子クラウディング環境によってトポロジーが変化し、安定性と複製効率の相関性が変化することが明らかになった。これらの結果は、細胞内で様々に変化するクラウディング環境に応じて、遺伝子複製の異常や組換えが生じることを示唆する。したがって、四重鎖トポロジーの変化は複製異常を原因とするがん等の疾患の要因となる可能性がある。以上の成果をまとめ、論文発表することができた(S. Takahashi, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 114, 9605-9610 (2018))。また、本アッセイ系の確立によって、四重鎖構造に相互作用する低分子化合物や核酸分子の影響を定量的に解析するプラットホームを構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H29年度は解析系の確立だけで無く、四重鎖構造のトポロジーが影響が複製反応を制御する要因であることを見出すことができた。また、研究内容を論文発表することもできた。現在、計画2年目に行う予定の四重鎖構造に相互作用する小分子化合物による複製反応の影響の検討を既に始めており、研究が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は特定の四重鎖構造を認識する低分子リガンドの探索と、その四重鎖トポロジーと複製反応に与える影響を解析する。四重鎖構造の安定性と複製効率の変化を指標に、特定の四重鎖トポロジーに結合するリガンドを探索する。例えばこれまでに報告されているリガンドの中で、テロメア配列のアンチパラレル型を誘起するThioflavin TやBMVC、パラレル型を誘起するN-Methyl mesoporphyrinなど様々な四重鎖結合リガンド存在下において安定性と複製効率を算出し、比較する。さらに、パラレル型のみを形成するVEGF遺伝子の四重鎖の複製効率と比較したり、種々の鋳型ライブラリーを用いた検討を行ったりすることで、各種リガンドが種々の四重鎖構造に対して安定性およびトポロジーにそれぞれどの程度影響を及ぼすか定量的に分類化する。四重鎖構造に関してはCD測定により随時確認する。
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Causes of Carryover |
論文の英文校正費が想定より安く抑えられたため。繰り越し分はH30年度の消耗品費として活用する。
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Research Products
(8 results)