2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis and regulation of cellular function of topologies of nucleic acid quadruplex.
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17K01968
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
高橋 俊太郎 甲南大学, 先端生命工学研究所, 講師 (40456257)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / グアニン四重鎖 / 人工核酸 / リガンド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は核酸四重鎖構造のトポロジーの細胞内での役割を物理化学的解析を通して理解することである。2018年度は四重鎖構造の複製反応に対する化学的要因について検討した。まず、グアニン四重鎖形成配列中のグアニン塩基が酸化された場合の影響を検討した。がん遺伝子と知られるVEGF遺伝子のプロモーター配列由来のグアニン四重鎖形成配列について、グアニン塩基の1つを8-oxoグアニンに置き換えたところ、四重鎖構造の不安定化と、トポロジーの変化が観察された。その結果、複製反応の阻害効果が大幅に低下した。さらに、リガンド分子による四重鎖の複製に対する化学的制御にも取り組んだ。前述の酸化したグアニン塩基を持つグアニン四重差に対し、グアニン四重鎖のリガンドであるピレンを5’末端に有する3塩基のグアニンが連続する人工核酸を添加したところ、酸化されたグアニン塩基と置き換わるように相互作用した。形成した四重鎖は、酸化されていない天然型と同等の安定性とトポロジーを示した。以上から、化学的要因によって四重鎖の安定性やトポロジーが変化する事で複製反応の制御機構が影響を受け、また人為的に化学制御できることを示すことに成功した。この成果は2018年度に論文発表し(Takahashi et al., JACS, 2018)、新聞記事として取りあげられた。さらに上記の人工核酸の効果をより詳細に検討することで、リガンドが相互作用する四重鎖の位置によっても四重鎖の複製阻害効果が異なることを見出した(Takahashi et al., Molecules, 2018)。これらの結果は、小分子化合物やタンパク質などが四重鎖のトポロジーに依存した相互作用を行うことで複製反応を制御していることを示唆しており、得られた知見は次年度以降行う小分子やタンパク質の影響に関する研究推進に役立てる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度はリガンドを用いて四重鎖のトポロジーに依存する複製反応の化学的制御に関する研究を進め、論文発表することができた。小分子化合物やタンパク質による複製反応の影響の検討を始めており、研究が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は現在進めている特定の四重鎖構造を認識する低分子リガンドの探索と、その四重鎖トポロジーと複製反応に与える影響を引き続き解析する。四重鎖構造の安定性と複製効率の変化を指標に、特定の四重鎖トポロジーに結合するリガンドを探索する。低分子リガンドとしてナフタレンジイミド化合物をベースに検討する。様々な修飾を施したナフタレンジイミド化合物と四重鎖構造との相互作用を安定性、CDスペクトル解析、およびNMR解析によって評価する。これらの四重鎖構造に関するデータと複製反応の効率を定量的に比べることで、低分子リガンドによる四重鎖のトポロジー依存的な複製反応制御のメカニズムを解析する。
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Causes of Carryover |
年度末に発注予定であった合成DNAが不要になったため次年度使用額が生じた。生じた使用額は、次年度、合成DNAを再注文した際に使用する予定である。
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Research Products
(16 results)