2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K01969
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
藤垣 英嗣 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (00612631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 彰宏 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (20597851)
服部 恭尚 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (20567028)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トリプトファン代謝 / キヌレン酸 / キヌレニンアミノトランスフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の病因には諸説があるが明らかにはなっていない。トリプトファン-キヌレニン代謝経路により生合成されるキヌレン酸(KYNA)の脳内における蓄積は、統合失調症の病因の一つとして考えられている。脳内でKYNAを産生させるキヌレニンアミノトランスフェラーゼ2(KAT2)の阻害剤は、統合失調症の治療薬として利用できることが期待される。そこで、KAT2阻害剤スクリーニング法を構築し、化合物ライブラリーのスクリーニングによりKAT2阻害剤を探索し、得られた阻害剤の効果を、モデルマウスを用いて評価することを本研究の目的とする。 2018年度の研究により、化合物ライブラリーの中から数種類のKAT2阻害剤を同定した。本年度は、その中の化合物A、化合物B、および化合物CのKAT2阻害効果を生化学的に詳細に解析した。これらの化合物は基質であるキヌレニンに拮抗作用を示すことでKAT2酵素活性を阻害することを明らかにした。さらに、コンピューターによるドッキングシミュレーションにより、これらの化合物はKYNの結合部位に入り込み、特定のアミノ酸残基との相互作用により結合することが示された。 以上のように、本年度の研究により、スクリーニングにより同定した化合物のKAT2阻害作用を詳細に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究達成目標は、昨年度同定した新規KAT2阻害剤の阻害作用を生化学的に明らかにすることである。同定した化合物は、KAT2を低濃度で阻害する競合阻害剤であることを生化学的に明らかにした。現在までに明らかになっているKAT2競合阻害剤には低濃度で阻害する物質はなく、本研究により有望な新規KAT2競合阻害剤を得ることができた。さらに、ドッキング解析により、これらの化合物の結合様式も示すことができた。これらの結果はすでに特許出願済み、論文投稿中である。以上のことから、本年度の目標は達成できており、本研究課題は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究計画により得られた新規KAT2阻害剤を用いてin vivoでの評価を行う。すでに野生型マウスを用いた予備実験により、これらの化合物の経口投与は血中キヌレン酸の濃度を有意に低下させることを明らかにしている。今後は、モデルマウスに化合物を投与し各種行動解析試験を行い、KAT2阻害剤の統合失調症治療薬としての効果を検証する。また、これらの化合物以外にも有意にKAT2を阻害する化合物を得ている。今後は、その他の化合物について誘導体の合成を行い、強力な新規KAT2阻害剤を得る。
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Causes of Carryover |
当初予定していた化合物の購入と研究分担者との研究打合せをとりやめたため未使用額が生じた。次年度の化合物購入および研究打合せ旅費に未使用額を充てる予定である。
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