2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K01981
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉田 篤司 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス 技術基盤研究センター, 基礎科学特別研究員 (90755571)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳可塑性 / MRI / マカクサル / 安静時機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞や脳内出血といった脳卒中患者では発症後に四肢の運動・感覚麻痺や言語障害を生じるが、その後症状が自然に軽減する場合や、リハビリテーションの介入により機能が軽減、回復することが知られている。しかし、損傷を受けた脳領域が他の脳領域にどのような変化をもたらし、症状を生じるのか、機能が回復する際に脳内でどのような変化が生じているかはほとんどわかっていない。また、同じような脳領域が傷害を受けた場合でも、発症する障害の程度は個人によって大きく異なっている。同様にリハビリテーションについても効果の程度には個人差がある。このような障害の程度やリハビリの効果の個人差についてもほとんどわかっていない。 近年、MRI研究ではMRI装置静磁場の高磁場化や様々な撮像法、解析方法が開発され、様々な脳構造や機能が観察できるようになってきた。例えば、近年開発され、注目されているNeurite Orientation Dispersion and Density Imaging(NODDI)法は、水分子の動きを計測する拡散画像法の一種で、神経軸索や樹状突起といった神経突起を画像化することができる。他にもMRI画像解析法として安静時機能的MRIによる脳内ネットワーク解析など、様々な方法が盛んに開発され、応用されている。 本研究では近年発展が目覚ましいMRIと、ヒトと相同の脳構造を持つマカクサルの脳損傷実験を組み合わせ、局所的な脳領域の損傷が脳全体のネットワークや構造、そして行動にどのような影響をおよぼすかを観察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は実験を行う前の脳構造や脳ネットワークを知るために、麻酔下にて複数頭のサルのMRI撮像を各個体につき3回撮像を行った。その後自らチェアに座るようにトレーニングを行った。本研究では行動実験として採餌課題を行うが、この課題ではブリンクマンボードと呼ばれるスリット状の穴が複数あるボードを用い、その穴に餌を入れ、それをサルが人差し指と親指を使って採餌を行う。採餌課題が行えるようチェアを改造し、3Dプリンターを用いて穴の大きさや方向が異なるブリンクマンボードを作成し、サルに採餌課題トレーニングを行った。トレーニングでは左右の手がどちらかしか使えないように行った。今年度は3頭のサルでの採餌課題のトレーニングが完了した。 コントロールとなるMRI撮像と行動課題トレーニングが完了したため、順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は複数頭のサルで採餌課題トレーニングが順調に終了し、コントロールとなるMRI撮像も終了した。今年度は薬剤の局所注入による脳損傷実験を行い、損傷後のMRI撮像及び行動課題実験を数カ月に渡って行うことで損傷後の経時変化を観察し、脳ネットワークの変化と行動課題実験の成績との比較を行い、脳機能回復に関連する脳ネットワークの同定を試みる。
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Causes of Carryover |
研究が順調に進み、初年度に障害実験を行う可能性があったため薬剤の購入費などを想定していたが、諸事情により障害実験は次年度以降に行うことになったために、薬剤などの購入費を次年度に移行したため。
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Research Products
(2 results)