2019 Fiscal Year Annual Research Report
Encoding mechanism of spatial information in the primate entorhinal-hippocampal system.
Project/Area Number |
17K01991
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田村 了以 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (60227296)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 海馬 / 内嗅皮質 / サル / 周期性徐波 / 空間情報処理 / グリッド細胞 / 場所応答 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
げっ歯類の研究より,内嗅皮質にはグリッド細胞など,海馬には場所細胞などの存在が知られており,これらの細胞集団からなるネットワークが周期性徐波(シータ波)の時間的枠組みの中で活動することにより,記憶の空間的文脈が符号化されると考えられている.一方,内嗅皮質-海馬系の空間情報符号化に関する霊長類の研究は少なく未解明の点も多い.本研究では霊長類の内嗅皮質-海馬系による空間情報の符号化機構,とくに周期性徐波の関与を明らかにすることを目的に,サルが場所移動課題を遂行中に内嗅皮質とその関連領域から神経(電場電位とニューロン)活動を同時記録し,①内嗅皮質ニューロンの空間応答特性,②内嗅皮質での周期性徐波の有無を検討した.本年度は,昨年度に引き続き,記録電極(テトロード)を内嗅皮質に慢性埋め込みしたサルが直線走路を往復運動しているときにニューロン活動を記録し,直線走路上での発火頻度マップの作製と発火タイミングの自己相関解析を行い,それぞれ,空間応答特性と発火の周期性について検討した.本年度は総数339個のニューロンを内嗅皮質とその関連領域から記録した.これら339個中、276個が錐体細胞、63個が介在細胞と推定された。276個の推定錐体細胞中、245個が解析に必要かつ十分な発火活動を示し、このうち9個は有意な空間応答性を示したが,明瞭なグリッド特性を示す細胞はなかった.また、記録した339個の細胞中、21が徐波帯域で有意な周期性を示したが、それらは全てデルタ帯域(4Hz以下)での活動であり、シータ帯域で活動する細胞はなかった.以上より,サルの内嗅皮質とその関連領域のニューロンは,①空間(場所)情報処理行なっているが明確なグリッド特性はないこと,および,②シータ帯域における周期性徐波とニューロン活動の位相関係による時間符号化を介した情報処理は行なっていない可能性が示唆された.
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Research Products
(3 results)