2017 Fiscal Year Research-status Report
穀物とイモからみるアフリカ諸国の食料生産・消費をめぐる構造変動
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17K02000
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
妹尾 裕彦 千葉大学, 教育学部, 准教授 (70451739)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アフリカ / 農業 / 食料 / 単収 / 灌漑 / 改良品種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、農業・農村開発・食料・栄養等に関する諸文献(アフリカ以外も含む)の収集に努めた。また、アフリカにおける食料生産、特に単収(土地生産性)の向上については、アフリカだけを見るよりも、他地域との比較によってより適切に把握できると考えられることから、アフリカ外での単収の向上の史的展開過程にかかわる文献の収集と、その読解も進めた。さらに、学会やシンポジウム等に出席して、本研究課題に関する現状や研究動向等の把握に努めつつ、研究領域の近い研究者との間でのディスカッションも行なった。 具体的には、以下の成果を得た。第一に、単収の向上は、早くから灌漑が整備され、限られた土地に多くの労働力を投下する営農体系が確立されていたところで、その取組が進められやすく、しかもその取組の成果も上がりやすいということを、中国・台湾・朝鮮・インド・インドネシア・エジプト等の各地域経済史の研究成果から汲み取ることができる。単収の向上については、緑の革命に関する研究成果によって、「灌漑発展→改良品種普及→肥料増投」という順序が指摘されてきたが、そもそも人びとが灌漑を管理してきた歴史の厚みが地域毎にどの程度あったかという点に目を向けることも、必要であるように思われる。第二に、インドとアフリカでは乾燥に強い雑穀類の生産が盛んだが、インドでは、灌漑の整備によって、これらの生産が給水可能地から駆逐される傾向が19世紀からあったことを、インド経済史の研究成果から汲み取ることができる。これらの事実は、いずれも、アフリカにおける単収の向上に関して示唆するところ大である。第三に、FAOSTATがカバーしていない1960年以前の単収の変動について、日本、タイ、フィリピン、ビルマ、仏印、マレーシア、蘭印、台湾、朝鮮、中国、フィリピン、スリランカなどでのデータを整理し、灌漑と改良品種の影響を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
編者を務める予定の著書の刊行にエフォートの多くを割くことになるなどの事情により、当初に予定していたデータの加工・解析作業が遅れている。他方で、当初に予定していなかった成果を得られるなどのこともあったため、総合的にみて「やや遅れている」としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
編者を務める予定の著書の執筆編集作業のために、エフォートが低下しているが、この仕事を早めに片付けることで、本研究課題のエフォートを徐々に向上させていく。データの加工・解析作業にも、取り組む。
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Causes of Carryover |
当初に予定していたデータの加工・解析作業に遅れが生じているためである。したがって、次年度以降にこの作業を進めることで、その分の費用の支出がなされる予定である。
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Research Products
(1 results)