2019 Fiscal Year Research-status Report
穀物とイモからみるアフリカ諸国の食料生産・消費をめぐる構造変動
Project/Area Number |
17K02000
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
妹尾 裕彦 千葉大学, 教育学部, 准教授 (70451739)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | アフリカ / 農業 / 食料 / 穀物 / 単収 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際機関によるデータの公表遅れにより、研究計画がずれ込んでいることの調整を図りながら、本年度も、農業・農村開発・食料等に関する諸文献(アフリカ以外も含む)の収集と読解に努めた。また、学会等に出席することで、本研究課題に関する現状や研究動向等を把握しつつ、国際経済、食料・農業経済、アフリカ地域研究等の研究者との間でディスカッションも行なった。 具体的には、以下の成果を得た。第一に、サブサハラ・アフリカ諸国における穀物生産量上位20カ国における過去半世紀余の生産量増加に関して、生産面積の変化の寄与率と単収の変化の寄与率を、穀物ごとに分けながら解析した。この結果、穀物増産を主に単収増によって実現してきた国が4カ国存在することが判明した。その4カ国とは、南ア、マダガスカル、ザンビア、エチオピアである。第二に、この4カ国での単収増の実態を検討した。その結果、4カ国での単収増のうち、サブサハラ・アフリカにおいてもっとも模倣(水平展開)の可能性が高いのはエチオピアの経験であり、逆に模倣(水平展開)の可能性が低いのは南アとマダガスカルの経験であるという判定に至った。第三に、エチオピアでの単収増を可能にしている要因としては、長年にわたる諸穀物での改良品種の開発・普及、化学肥料の投入量増加を支えるクレジットの供与、エキステンション・サービスの充実・拡大、そして高い農業支出である、と考えられることがわかった。また、適切な農業政策をとっても成果が出るまでに相当の年月を要するため、その長期にわたる持続的な積み重ねが重要と考えられることを確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データの加工・解析作業に遅れがある。その原因としては、第一に、本研究と平行して進めていた別の研究計画(共同研究)において、共同研究者の体調不良により進行が大きく遅延し、分担体制の見直しを余儀なくされ、そちらへのエフォートを高める必要が生じてしまったことであり、第二に、本来であれば毎年改訂・公表される国際機関のデータを入手し分析することを予定していたところ、当該データの改訂・公表が丸1年もずれ込んだこと、などがあげられる。このため、研究期間を1年間延長した。
|
Strategy for Future Research Activity |
上に記したように、本研究と平行して進めていた別の研究計画(共同研究)でのエフォートを高める必要に迫られていたが、徐々にこの共同研究のエフォートは低下しており、本研究のエフォートを高めたい。また、本来であれば毎年改訂・公表される国際機関のデータの改訂・公表がずれ込んでいたが、最近、ようやく公表されたので、この加工・解析作業を進めたい。
|
Causes of Carryover |
上記の通り、進捗に遅れが生じたためである。遅れていた研究・作業内容を遂行するなかで、必要な支出がなされる予定である。
|
Research Products
(1 results)