2020 Fiscal Year Research-status Report
Reception of Wagner's sacred stage festival music drama>"Parsifal< in the North American Continent of the early 20th century
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17K02003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 太郎 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (40239942)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 芸術諸学 / 独文学 / 社会学 / 西洋史 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍の影響によって、予定していた海外出張が不可能になった上に、遠隔授業への対応・授業用配信動画の制作に追われた。そのなかで昨年度から続けているインターネットを利用しての古新聞記事等の資料収集とその整理、さらには解読を進め、著書の執筆に向けた研究の仕上げにそれなりの展望を得ることができた。具体的には、
①昨年に引き続き、web-site>Historical Newspapers<から収集した1903年~1905年にかけての《パルジファル》に関連する記事の整理と解読を進めた。とりわけ1904年から翌年にかけてのヘンリー・サヴェージ巡業歌劇団の北米大陸公演については各地の公演批評を比較分析することで、上演の実態についてのイメージが肉付けされたほか、公演日と公演地、チケットの値段、公演が行われた劇場・団体のレパートリー、事前の広報宣伝や聴衆への啓蒙活動などの具体的情報を収集・整理することで、文化・宗教・社会生活などが地域やコミュニティーごとに大きく異なるアメリカという国家の多様性に関する視点を深めることができた。②1900年前後に出版された英語による文献の復刻版数点を精読。バイロイトでの初演後20年を経たアメリカの地で、《パルジファル》という作品とワーグナーの思想(再生論、動物愛護と文明批判)の関連性がどの程度理解され、どのように語られていたかについてのイメージを具体化することができた。③現代イギリスの哲学者Scrutonの著作をはじめとする英米圏での《パルジファル》作品論を読み込むことで、地誌学的性格の強い上演史研究という性格を持つ本科研での研究を作品そのものの解釈と接続する手がかりを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響によって、予定していた海外出張が不可能になった上に、遠隔授業への対応・授業用配信動画の制作に追われた。そのなかで昨年度から続けているインターネットを利用しての古新聞記事等の資料収集とその整理、さらには解読を進め、研究の進展に具体的な展望を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研で収集した文献・古新聞資料の解読・整理にめどをつけ、まずは基礎論文を執筆・発表することで、大部となることが予測される著書の執筆に弾みをつける。 また新型コロナ感染の影響で、昨年度中に実現できなかった海外出張についても、資料・情報収集およびフィールドワークの締めくくりとして中西部(シカゴ)、西海岸(サンフランシスコ歌劇場、スタンフォード大学図書館)を含むアメリカでの調査出張を行なう。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で予定していた海外出張が不可能になったため。
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