2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of Corsican Nationalism and Transformation of Triangle Relations among Region, Nation-State and European Union
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17K02005
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
長谷川 秀樹 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (20322026)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コルシカ / 民族主義 / ナショナリズム / カタルーニャ / EU / 併用公用語 / 島民地位 / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
コルシカ民族主義の動きの現状について、6月、10月、30年2月の3度現地にてフィールドワークを行うとともに、上記の期間以外は所属大学研究室等国内において、これまで入手した文献を再度読み直すなどして、1960年代から現在に至るまでの民族主義の変遷について、先行研究等も確認しながら、明らかにしていった。 研究初年度は、12月におりしもコルシカ議会選挙が実施され、民族主義グループが前回選挙(2015年12月、初めて地域議会第1党となる)よりさらに飛躍し、議会絶対過半数を占めるに至ったほか、5月フランス国政選挙でもコルシカ島から初の民族主義系国会議員を選出するなど、民族主義に大規模な展開があり、こうした動きについては、さまざまなリソースに目を通すなどして把握分析を怠りなく続けた。 また、比較という点でも、今年度は、10月下旬を中心とするスペイン・カタルーニャ州の独立問題など、ヨーロッパの地域ナショナリズムの面で大きい動きがあった。偶然にも10月コルシカ訪問直前にフランス側カタルーニャ地方(ピレネーゾリアンタル県ペルピニャン市)に滞在調査し、スペイン側カタルーニャの独立・ナショナリズムの影響がどのような形で及んでいるのか(あるいはいないのか)調査することができた。この調査は同月のコルシカ島でも行い、ペルピニャン、コルシカいずれの地域もカタルーニャ独立については「共感」する傾向があることが明らかになった。 また、30年2月の調査滞在時には、フランス大統領のコルシカ島公式訪問があり、そのときの演説で課題に掲げる「イッシュー」に対するフランス政府の姿勢を明確に聞くことができた。コルシカ民族主義者の掲げる「併用公用語」や「島民地位」は明確に拒否しつつも、フランス憲法を改正しコルシカの特殊性を明記することや二言語主義は推進することなどが明らかになり、従来のフランス国家との関係の変容をうかがわせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階において平成29年度に予定していた現地における調査活動(資料収集、聞き取り、現地研究者との打ち合わせ等)は、予定通りに実施できたため。また、国際・国内の学会・学術団体における研究発表についても当初の予定通り実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
カタルーニャ独立に共感を示しつつも、自らの独立についてはコルシカ民族主義者は明確に否定している。今後の研究を通じての理由を明確にしたい。 平成30年度は、現地滞在期間が長くなるため、他のEU島嶼地域のナショナリズム(もしくは地域主義)と自治、EUとの関係について比較的考察できるようにしたい。
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