2017 Fiscal Year Research-status Report
アジア知日産業人材を担い手としたネットワーク型開発協力の有効性
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17K02006
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
大野 泉 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (20397102)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 知日産業人材 / アジア / 開発協力 / 官民連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、第1年次の取組として、以下を中心に実施した。 ①日本の対アジア産業開発協力・FDIの時代的変遷のレビュー、アジア知日産業人材に関する基礎情報収集(文献レビュー、国内ヒアリング) ②アジア知日産業人材の事例分析の候補・方法についての検討(国内ヒアリング、ベトナムから招聘・セミナー開催) ③グッドプラクティスに関する詳細情報の収集(国内ヒアリング、ベトナム現地調査)
具体的には、日本国内で産業人材育成に積極的に取り組んでいる組織(JICA、PREX、関西の地方自治体等)からの情報収集と意見交換、及びベトナム・タイに焦点をあてて知日産業人材の蓄積に関する情報収集・文献レビューを行った。これらをふまえて、ベトナムを対象に現地調査を実施するとともに、ベトナム知日産業人材としてDr. Nguyen Dang Minhを招聘したセミナーを2018年1月24日に本学で開催した(「ベトナム産業人材のマインドセット改革~その理論と実践例~」)。Dr. Minhは、日本留学してエンジニアリングを学び、トヨタ本社勤務後、ベトナムの大学で教育研究と企業への経営コンサルティングを通じて、日本型ものづくりをベトナムに根づかせるための理論研究と企業実践に取り組んでいる、若い世代のリーダー的な知日産業人材である。また、ベトナム現地調査においては、元・技能実習生や日本留学・日系企業勤務経験者で日本型ものづくり人材育成のための教育訓練や地場企業育成、日系企業とのビジネスマッチング等を行っているベトナム人専門家、及び工業団地・企業関係者からヒアリングを実施した。そして、第1年次に収集した基礎情報をもとに、小論文「アジアの知日産業人材と日本経済とのネットワーク構築」を執筆した(『関西経済白書 2017』(一財)アジア太平洋研究所に掲載)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、両親の病気・介護・逝去といった、当初予期していなかった家庭事情に直面し、現地調査の頻度を減らすなど研究のペースを若干、緩やかにせざるを得なかった。
しかしながら、基礎情報の収集・ヒアリング、ベトナムを中心とした現地調査、同国の知日産業人材を招聘したセミナー開催、収集情報にもとづく暫定的な整理(小論文執筆)を行うことができたところ、総じて、予定どおり進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は第2年次の活動として、①グッドプラクティスに関する詳細情報の収集と要因分析、②アジアと日本の産業ニーズに関する分析、③知日産業人材のネットワーク化の有効性の検証に焦点をあてて、国内ヒアリングや現地調査を組み合わせて、取り組む予定である。
特に、今まで東アジア諸国を中心に事例分析の候補やグッドプラクティスに関する情報収集を行ってきたが、今年度は、東アジアに比べ、相対的に日本企業の集積が限られている南アジア諸国(バングラデシュ、スリランカ、インド等)を含めて調査を実施していく予定である。またグッドプラクティス事例については、内外より、当該人材・組織を招聘したセミナーや研究会を開催し、具体的な情報収集や要因分析を行う助けにしていきたい。
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Causes of Carryover |
旅費の使用額が当初予定より少なかったが、主に2つの理由がある。第1に、本学セミナーの講演者としてベトナムから招聘予定であった知日産業人材(Dr. Nguyen Dang Minh)より、旅費の辞退があったこと(別用務で来日する機会があったため)。第2に、ベトナム以外の国(スリランカ等の南アジア諸国)にも現地調査を行う予定であったが、研究代表者の家庭事情で出張頻度を減らさざるを得ない状況になったこと。
平成29年度の使用残額は今年度の予算とあわせて、現地調査(旅費)及び調査・セミナー開催等に必要な傭人費に充当する予定である。
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