2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K02007
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古泉 達矢 金沢大学, 法学系, 准教授 (90724831)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 威海衛 / イギリス帝国史 / 中国近現代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イギリスが中国から租借した山東省威海衛における統治政策と、同地をめぐるイギリスの対華政策の連関に焦点を当て、その租借から還付へ至るまでの過程において、両者が入れ子状に展開した過程を明らかにするものである。 本研究計画の4年目にあたる2020年度には、昨年に引き続き論文の執筆を進めるほか、日本国内における各研究機関と、東アジア(香港・台湾・中国)およびイギリスにおいて史料の調査・収集を実施する予定だった。しかしながら、コロナウィルスの感染拡大を受けてこれらの調査を全て取りやめざるを得なくなってしまった。 このため当初の予定を変更し、国内外の研究機関を訪問しないですむよう、以下の内容に的を絞った。 第一に、2019年度までに収集した威海衛関係の論考・史料の読解を進めた。 第二に、2019年3月・6月に開催された国際シンポジウムで報告した、威海衛における救荒政策に関する報告を論文にまとめた。本稿はまだ活字にはなっていないが、査読付きの学術雑誌への投稿は済んでおり、既に掲載が決定している。このほか、威海衛と同様にイギリスの植民地だった香港と中国との関係をめぐる小論、および華人によるアヘン吸煙と彼らに対する排斥運動の関係をめぐる論考をそれぞれ執筆した。 コロナウィルスの感染をめぐる状況が今後どのように変化するか分からないので、2021年度には基本的に既に収集を済ませた史料の読解と、所属先の図書館を通じて取り寄せ可能な文献に的を絞り、調査・研究を行う予定である。こうした作業を通じて今後必要となるであろう史料・資料を確認し、コロナウィルスの感染をめぐる状況が改善されれば、国内外の文書館・図書館を訪問してこれらの調査・収集を進めてゆく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度には当初予定していた国内・海外における史料調査を実施できなかったが、これまでに収集した資料の読解を進めたほか、前年度に国際シンポジウムで報告した内容を論考にまとめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度もコロナウィルスの影響で国内外の文書館・図書館での史料調査・収集を行うことは難しいことが予想されるが、現在までに収集した史料の読解を進めると共に、論考の執筆を進める。さらに感染状況の改善を見越して、今後必要となる史料のリストアップし、状況が改善次第、これらの調査・収集に取り組むことができるようにしておく。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナウィルスの感染拡大に伴い、当初想定していた国内外における史料の調査・収集ができなかったため、次年度使用額が生じることになってしまった。これらはコロナウィルスの感染状況が改善した後に予定している史料調査・収集に充てる予定である。
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