2017 Fiscal Year Research-status Report
「宗教と政治の接触領域」への実証的アプローチ:フィリピンRH法をめぐる葛藤と調停
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17K02009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
東 賢太朗 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (40438320)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フィリピン / 政治 / 宗教 / カトリック / リプロダクティブヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、フィリピンにおけるリプロダクティブヘルス法の事例から、現代社会における「宗教と政治の接触領域」の増大と、そこに生じる葛藤と調停のための対話のプロセスについて、フィールドワークを通じて実証的に解明することである。 初年度にあたる平成29年度は、文献研究とフィールドワークの2つの方法を用いて、それぞれ下記のように研究を行った。 文献研究では、本研究における「政治と宗教の接触領域」という視座を確立するため、日本国内で人類学、宗教学、宗教社会学、政治学、政治哲学等の関連領域について国内外の研究の収集、精読を行った。 フィールドワークでは、「カトリック教会による国家政治への介入」と「都市中間層のリプロダクティブヘルス法への対応」について、インフォーマントが移動したため当初予定していたマニラ首都圏からセブ州に調査地を変更し、2018年2月に1週間程度の現地調査を実施した。具体的には、セブ市を中心としたカトリック教会の公文書を収集し、教会関係者と都市中間層へのリプロダクティブヘルス法についてのインタビューを行った。 また次年度以降に計画していた「カトリック教会と地方政治との関係」および、「地方生活者のリプロダクティブヘルス法への反応」についても、アクラン州にて2回、2017年12月から2018年1月に2週間と、2018年3月に1週間程度の現地調査を行った。具体的な内容は、アクラン州内の教会関係者と地方生活者へのリプロダクティブヘルス法に関するインタヴューである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の平成29年度は、文献研究については当初の予定通り国内外の研究の収集・精読を行うことができた。またフィールドワークについては、本年度予定していた都市での調査に加え、次年度に予定していた地方での調査も推進することができた。一方で、インフォーマントの移動によりマニラでの現地調査をセブに変更する必要があった。総合的に考え、初年度の研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、計画通り文献研究とフィールドワークを並行し、研究課題を推進する。初年度に課題となったマニラ首都圏での現地調査については、インフォーマントの発掘やネットワーク形成に努めるとともに、すでに実施することができたセブ州での調査による資料の補足も検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたマニラ首都圏でのフィールドワークについて、インフォーマントの移動により調査地を変更し、また期間を短縮したため。次年度以降のフィールドワークの経費に充当する予定である。
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