2018 Fiscal Year Research-status Report
Changing environment and vanishing local knowledge
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17K02014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 詞子 京都大学, 野生動物研究センター, 研究員 (60402749)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 長期変動 / 植生 / 気候変動 / 在来知 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、現地での植生調査を中心に研究をおこなった。 調査地(マハレ山塊国立公園、タンザニア連合共和国)では、温暖化の影響が気象資料から認められている。前年度に2016年までの資料をもとに予備分析をおこなっており、来年度には新たに収集された資料をもとに、さらなる分析をおこなう。これにより、前年度の分析では不明瞭だった2015~2016年のENSOの影響について、より確実な分析が可能となる。 気候変動と植生遷移の双方の影響をうけている調査地の植生についても、追跡調査をおこなっている。植生の長期的変化を明らかにするため、三度目となる植生調査を開始し、面積にして全体の約20%を終了することができた。また電子化作業もほぼ終えた。今回調査したエリアは、特に植物が密生しており、作業に多くの時間を要した。これ以降は、植物密度が多少低くなるため、時間短縮が見込まれる。 この一帯を居住地としていた人びとは、精緻な植物分類体系をもっている。しかし、国立公園化と学校教育の浸透に伴い、こうした在来知は失われつつある。彼らが将来的にこうした知を利用できるようにするため、さらには、環境変動のなかで植物自体が失われていく現状に鑑みて、現地植物名や該当植物の情報についての資料収集は急務である。次年度は作成中の現地植物名をリスト化した印刷媒体を持込み、地域住民の助力を得てさらなる精確を期す予定である。図鑑作成に必須の植物写真の収集や、植物についての情報収集も継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では植生調査は来年度から開始する予定であったが、予備調査の過程で、調査トランゼクトの変動(自然的・人為的)の影響が予想以上に大きく、従って調査に時間を要すると判断したため、一年前倒しで着手した。そのかわり、植物知識についての調査に十分な時間が取れなかったが、来年度以降に巻き返しをはかる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
気象および植物季節動態につい手の資料は引き続き電子化作業を進める。 植生調査については、植物の生存状況やトランゼクトの撹乱程度などに調査時間が依存する。しかし、これには実際に調査をしないと調査にかかる時間を予測できないが、とにかくできるだけ早く進めたい。また、調査にかかる時間は、作業内容を熟知した調査アシスタントの数にも依存するので、十分な人数を確保できるよう善処する。
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[Journal Article] Wild chimpanzees deprived a leopard of its kill: Implications for the origin of hominin confrontational scavenging2019
Author(s)
Michio Nakamura, Kazuhiko Hosaka, Noriko Itoh, Takuya Matsumoto, Takahisa Matsusaka, Nobuko Nakazawa, Hitonaru Nishie, Tetsuya Sakamaki, Masaki Shimada, Yukio Takahata, Masahiro Yamagami, Koichiro Zamma
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Journal Title
Journal of Human Evolution
Volume: ー
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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