2017 Fiscal Year Research-status Report
ボルネオ社会編成の基礎研究:汽水域・流域・間流域からの新モデル構築
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17K02017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 登 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (50273503)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ボルネオ / マレーシア / サラワク / 社会編成 / 汽水域 / 流域 / 間流域 / 山地低地関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
「調査許可申請・現地共同調査準備・予備調査」: 採択決定を受け、外国人研究者に対する調査許可の発給機関あるマレーシア連邦サラワク州政府計画委員会への申請手続きを進めた。認可を待つ間は、京都大学東南アジア地域研究研究所図書室所蔵のサラワク植民地官報 The Sarawak Gazette (1871-1941)のマイクロフィルム読解を進めた。29年度末には、元サラワク州森林局職員同行のもとで「汽水域」に位置する集落、ならびにWWF Malaysia研究員とともに「間流域」に位置する集落における予備調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サラワクにおける本調査実施に向けて合計2回の予備調査を行った。ついては、汽水域および間流域地域における調査村落を決定し、調査助手の人選も完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
「汽水域調査」: Bintulu市近郊Kemena下流域ならびPandanにおいてMelanauとVaie Seganの集落て調査を実 施する。前者は潮間帯、後者はサラワク北部で唯一の泥炭湿地帯である。MelanauはOrang Uluと称される内陸タヤックKajamanと近似の文化的出自をもつイ スラム教徒てあり、Vaie Seganも改宗と婚姻による入信を経たイスラム教徒てあるが、両集団に関する民族誌的 研究は存在しない。本研究では、「カリマンタン水系モデル」の構築に努めながら、Pandan地域までを内陸汽水域、もしくは湛水地帯(疑似下流)と位置つけ、生態環境と社会編成の関係理解を進める。ついては、サコヤシ栽培(食用)、 ニッパヤシ採集(食用、生活財利用)、氾濫原での水稲栽培、河畔林でのマングローブならひにラミン材伐採など;、海と陸の漸次的遷移帯における生業形態、内陸諸民族との交易活動について、交易ポイント、森林産物供給者などを特定する。この「汽水域」調査では、内陸ダヤック諸集団との婚姻関係、MelanauとVaie Seganの改宗プロセス、生業転換などが重要な課題となる。集落での参与観察に加えて、世帯の生業ポートフォリオ、土地利用・ランドスケーフ改変史、空間移動史、集落の分立移動史(歴史と空間的プロッティンク、家族・親族・集落の民族的構成、カンポン内親族関係の系譜的理解などの調査課題を考察する。
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Research Products
(1 results)