2021 Fiscal Year Research-status Report
フィリピンの労働レジーム‐グローバル資本主義下の自由化と伝統の接合
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17K02019
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| Research Institution | Kobe University |
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Principal Investigator |
太田 和宏 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (00273748)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | フィリピン / 労働 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究はフィリピンにおける労働事情の実態を制度や慣行、そして労働以外の政治的経済的要素と関連づけながら全体構造の「レジーム」として把握することを目的としている。フィリピン国内の諸要素のみならず、外国資本との関係がとくに強い状況に加え、出稼ぎ労働者を多く持つフィリピンの抱えるグローバルな要素を不可欠なものとして取り込みながら把握することを目指している。
コロナ禍の影響を受けて現地での資料収集や実態調査が滞っているために、全体として本研究の進行も大幅に遅れており、研究期間の延長をお認めいただいているのが現状である。ただし、コロナによるロックダウンや経済活動の停止、さらには出稼ぎ労働者の帰国などから従来の労働慣行の多大な変更を迫られ、それに伴い、本研究においてもこれまでの枠組みを大きく変更する形で新しい社会的な環境からとらえなおす作業が求められている。
そうした観点から、フィリピンの新自由主義政策に対応した労働法制度、団体交渉制度CBを基本とする労使調停機能とその形骸化、分断化した労働運動と労働者要求の発出の在り方、出稼ぎ労働など海外労働市場との有機的関連性、インフォーマル労働市場や児童労働を含む非合法領域の実態と正規労働市場との連関、そしてさらに貧困対策、コロナ対策と銘打った公共政策としての雇用創出などの諸側面を、個別の問題として整理するのみならず、それらを関連付けて全体としてのフィリピン固有の「レジーム」の在り方について追及をしている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
概要においても記載したようにコロナ感染状況によってフィリピンへの渡航調査がこの3年近く不可能となっており、くわえて、フィリピン国内の労働関連組織、団体、研究機関など諸団体の機能も停止あるいは臨時対応等に追われており、遠隔による情報収集も非常に限られることとなった。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度は夏以降にフィリピン現地への調査が可能になるものと想定をして研究準備を進めるとともに、限定的ながら収集した情報をもとに、成果としていまとめてゆく作業を中心に遂行してゆく予定でいる。
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| Causes of Carryover |
昨年度までコロナ禍のため多くの研究機会に変更を迫られ、特にフィリピンに渡航して直接聞き取り調査や資料調査ができなかったことは大きい。本年度感染症が沈静化することを前提としてフィリピンへの現地調査を行い、本研究をまとめる方向に進みたいと考えている。11月に行われるフィリピン研究国際大会においてパネルを組み、そこにフィリピンからの研究報告者を招来することも検討している。
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