2018 Fiscal Year Research-status Report
イスラーム世界におけるグローバルな移動がもたらす社会変容の質的・量的解明
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17K02022
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木下 博子 (木下博子) 九州大学, 留学生センター, 准教授 (60711223)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 留学生コミュニティー / イスラーム世界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主として留学前の生活実態と、留学先別留学生のコミュニティの実態を明らかにするために、量的デー タおよび質的データ双方の採取を試みた。 ①量的データ採取:量的データの採取についてはシステムの開発に問題が生じ、留学生個人のスマートフォン等の端末にアプリケーションを導入することが困難であることが判明したため、データ最終方法を留学実態を明らかにするための質問表によるデータ収集に切り替えた。質問表の作成にあたっては、エジプト人留学生を対象としているため彼らの母語あるいは日常生活において使用されているアラビア語、英語訳、日本語訳の3つを作成し、原則アラビア語による質問表に回答してもらった(参考資料として英語訳を添付した)。 また、調査協力者からの提案により質問表配布対象者を、本邦大学に在籍しているエジプト人留学生に限定せず、本邦大学を卒業(修了)後、日本国内の企業に就職している元留学生も対象とした。本報告書執筆時点でも継続してデータを収集中である。 インドネシア人留学生に対する質問表については、エジプト人留学生を対象とした質問表の英語版をもとに、インドネシア語版を作成している(H31年度夏以降、配布・調査を開始する予定)。 ②参与観察および聞き取り調査:上記の質問表について、回答が曖昧である場合、また調査者が読み取れない回答があった場合にのみ、回答者の同意を得て再度聞き取り調査を実施した。また、本邦大学に在籍するエジプト人留学生らの集まりに参加し、彼らが取り交わす会話を中心に、日本における生活にかんする言説を採取した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記、研究実績の概要で記載した通り、量的データ採取のためのシステム構築に問題が生じたため、H29年度から取り組んでいたシステム開発から方向転換し、質問表によるデータ採取に切り替えたため、データの採取状況に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に作成した質問表によるデータ採取を継続して実施する。 具体的には、今年度の計画を発展させるため、帰国した留学生の追跡調査を実施し、元留学生が現地社会で果たす 社会的役割について解明する。 そのため以下の調査に取り組む。 ①量的データと質的データの整理:今年度作成した質問表によるデータ採取を継続して実施すると同時に、データの分析を開始する。具体的には、留学前の生活実態を留学先ごとに分類して整理する。 ②国内でのフィールドワーク:本フィールド調査では、日本の留学生コミュニティにおける参与観 察、 ・聞き取り調査を実施する。具体的には、個人的なネットワーク量、互酬性、信頼、学修状況 の指標をもとに、国内の国立大学にて形成されるインフォーマルな同郷人会を対象とする。国内 のエジプト人留学生による同郷人会、およびインドネシア人学生協会での行事へ参加し観察を行 う。また、直接的・間接的相互交渉の内容や頻度について、聞き取り調査を実施する。なお調査 にあたっては国内最大数のエジプト人留学生が学ぶ勤務校にて、申請者の所属する部局でのエジプト人留学生サポート環境を活用する。
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Causes of Carryover |
本年度実施予定であった中期のフィールド調査が勤務校の業務の都合で実施できなくなったため、旅費として計上していた経費に残額が生じたため。
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Research Products
(1 results)