2021 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Study on Intangible Cultural Heritage in Ethiopia: Focusing on Gadaa System of Oromo
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17K02031
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
田川 玄 広島市立大学, 国際学部, 教授 (70364106)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無形文化遺産 / エチオピア / オロモ / ガダ体系 / 文化政治 / 民族文化の表象 / ボラナ / 地方分権化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ユネスコの無形文化遺産として登録されたエチオピアの民族文化に、グローバル・ナショナル・ローカルという三つのレベルのアクターがどのように関わっているのかを明らかにする「文化の政治学」である。具体的な研究調査対象は、エチオピアの最大民族オロモの年齢体系であるガダ体系である。ガダ体系は2016年に「オロモの固有な民主的社会政治体系」としてリストに記載されている。 最終年度である2021年度は、エチオピアにおける補足的な現地調査を予定していたが、昨年度と同様に新型コロナ感染症の世界的な流行に加えて、北部地域の内戦によるエチオピア国内の治安状況の悪化のために現地調査を行うことができなかった。しかしながら、これまでの現地調査で得られたデータの再検討、文化遺産をめぐる先行研究の新たな動向の調査、ガダ体系をはじめとするオロモの政治・文化的な情報について、インターネットを介してデータの収集を行った。そのなかで、主としてオロモ出身の研究者たちにより、ガダ体系における女性の権利の問題が無形文化遺産登録前後から注目され、現在も大きなテーマであることを確認することができた。 最終年度の研究成果は、共著の牧畜社会についての比較写真民族誌論集である。担当した章では、エチオピア南部のオロモ系地域社会ボラナのガダ体系の最終階梯ガダモッジの終了儀礼について、2019年と1995年の現地調査にもとづく比較を行い、その変化を示した。
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